子連れファミリーをガイドするときに、知っておいてほしい5つの大切なこと

通訳ガイドスキルアップ

子連れの旅。それは想像以上にエネルギーを使い、親は「正直つかれた…」という結果に終わってしまうことも。日本でのゲストの旅を素敵なものにするために、わたしたちガイドにできることは何でしょうか。今回は、お子さま連れファミリーをご案内するときのコツや、アドバイスをお届けします!

この記事を書いているのは…】
ひだみき
テーブル茶道講師/通訳案内士
通訳案内士に合格するまで5年もかかったことで、すっかり日本が大好きになった宇治人。正座が苦手なことからテーブルで行える茶道を選び、現在は指導する側に。魅力たっぷりな「茶道」という日本の心を伝えたいと、日本語と英語で活動している。
Instagram:https://www.instagram.com/japan_guide_miki

ガイドは子どもを楽しませてこそ

まず、ガイドにとってたいせつなことは「ご家族全員に楽しんでいただくこと」。

楽しんだり価値を感じていただいてこそ、ゲストもガイドを手配する意味があると言えます。とはいえ、全員に喜んでいただけるガイディングがベストですが、趣味嗜好が異なる場合、全員をカバーするのは難しいこともあるかもしれません。
そんなとき、ぜひ意識してみてほしいのが「子どもを楽しませること」です。

ガイドはベビーシッターではないっ!という意見を、おじさまガイドから頂いたことがありますが、子どもが楽しんでいれば、大概の親はハッピーで、このガイドさんにまた頼みたい、と思うもの。
子どもをあやすことで、大人の仕事を減らしてあげられれば、大人も日本での時間を楽しむ余裕が生まれます。いろんなご家族がいらっしゃるので一概には言えませんが、お子さんへのケアを増やすことを少し意識してみるだけで、家族全体の満足度が変わります。

お子さんの年齢によっては思春期にさしかかり、会話をするのが難しい場合があるかもしれません。
そんな場合でも、できるだけ相手が心地よく感じる方法でコミュニケーションを取り、日本での滞在を楽しんでいただけるようにしましょう。

家族全員が楽しめる場所と工夫を

家族全員が楽しめる旅にするためには、訪れる場所やアクティビティ選びにも工夫が必要です。
大人がやりたいことと、子どもがやりたいことをバランス良く旅に取り入れましょう。

寺社仏閣が好きだといっても、一日にいくつも寺社仏閣ばかり訪れていると飽きてしまうもの。それに、文化財によっては静かにしていることが求められるので、動き回るお子さんがいると辛くなってしまうかもしれません。

子どもが飽きる場所が続く場合は、休憩をたくさん取って「お子さんが自由に遊べる時間」を頻繁につくりましょう!

たとえば、奈良公園で鹿と戯れるのはどうでしょう?プレイルーム付きのレストランで食事を取るのもおすすめ。デパ地下でお弁当をテイクアウトして、自然いっぱいの場所でピクニックするのも楽しいです。京都の下鴨神社には小さな川があって、自然もたくさんありますよ〜。

神社やお寺の甘味処で小休憩をとることも喜ばれますし、お城に行けば、お庭を見ながらお抹茶ものめます!「お庭を歩く」というアクティビティでも、開放感があり身体も動かせるので、子どもが夜寝る時間を早めることができるんです。

旅行中に、子どもに早く寝てもらうことはとても重要です。次の日のプランにも影響し、寝不足だと子どもの機嫌が悪くなってしまうかもしれません。
楽しく日中に身体を動かしてもらいながら、たくさんエネルギーを使ってもらいましょう!

下調べをしっかりと!

通訳ガイドのお仕事の大半は、下見という名の「事前準備」といっても過言ではありません!

ベビーカー用のルート」と「ベビーカー置き場」は最低限、かならず確認しておきましょう。

また、「ベビーベッド付きのトイレの場所」「キッズ用のトイレの有無」「授乳室の場所」「ミルクのためのお湯が調達できる場所」なども事前にチェックを。ショッピングモールに行けば、授乳室やオムツを替える場所が必ずありますよ〜。

行く場所を詰め込みすぎない

お子さんの年齢が小さければ小さいほど、思ったようにスケジュールは進んでいきません。とにかく時間には余裕を持って、予定を組みましょう!トイレや休憩はこまめに。次の行動を促すのは、はやめに。そして究極的には、少しくらい遅れても大丈夫なように代替案のコースを用意しておきましょう。

どれだけ想定していても、途中で予期せぬ事態に時間がとられることは、子連れにはよくあること。予定どおりいかなくても、慌てなくて大丈夫です。
大人は目的地ばかり目指してしまいがちですが、子連れ旅行は(かなりたくさんの)寄り道も含めての旅ですから。

もちろん、本来の予定を優先するのか、子どもがやりたいことを優先するのか、などの優先すべき事柄に関しては、大人に確認して臨機応変に動きましょう。

普段から子どもと関わってみる

保育や育児経験があるなら、子連れファミリーをガイドする際に、大きな強みとなります。「育児」という共通の話題があることで、ママ友やパパ友の絆は国境を超えます(笑)。
私も、出産前と出産後では、良くも悪くも見える世界が180℃変わりました。育児をしていると仕事をスローダウンすべき機会は増えますが、ガイドの仕事においては、子育てで身につけた視点はとってもステキな財産になります。

では、保育の経験がなければ、子連れファミリーをガイドできないかと言うと、そんなことはありません。どんなカタチでも良いので、気軽に、まわりにいる子どもと関わってみてください。子どもと実際にやり取りをすることで、学べることがたくさんあります。

ちなみに、私のおすすめは「子連れの友人と観光地に出かけること」。

事情を説明して、どういったところにサポートが必要なのか、どんなケアが嬉しいかを聞くと、率直に答えてくれます。サポートしてもらえる側も嬉しいし、サポートする側も気づきが多く学びになり、みんなハッピーです!子連れの友達がいない方は、ぜひ私に声をかけてください(笑)

余談ですが、福祉施設で働いている友人によると、「介護と育児はとてもよく似ている」とのこと。事実、彼女の気遣いは的を得ていて、一緒にでかけていても子どもとのやり取りに安心感があります。介護経験のある人はそれに加えて、お年寄りがいらっしゃるファミリーのガイドとしても素晴らしい気遣いができるでしょう。

そう考えるとガイドというのは、人生での経験をまるごと活かせるお仕事
どんな経験をしても、豊かなガイディングにつながるお仕事です!

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