今、世界中のさまざまな国で自転車の活用が注目されています。「環境にやさしい、健康にいい、心地いい、誰でも気軽にできる、移動に便利、そして楽しい…!」と、メリットいっぱいのサイクリングは日本でも人気と注目度が急上昇中です。
今回はそんなサイクリングについてのあれこれをまとめました。
【ガイドライター】
齋藤 一美(さいとう かずみ)
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2016年に英語全国通訳案内士資格取得。通訳ガイド派遣会社でのコーディネーター職を経てフリーランスの通訳ガイドに。コロナ禍の現在は前職の介護福祉士として高齢者ケアの仕事に従事中。グーグルマップを見ながら妄想旅のプランをあれこれ練ってるときが至福の時間。
GOOD CYCLE JAPAN
日本では2016年12月に自転車活用推進法という法律が成立しています。これは、これまでの規制法とは異なり、積極的に自転車を活用していくことをうたった画期的な「理念法」とのことです。
「GOOD CYCLE JAPAN」とは、「みんながもっと自転車に乗れば日本に”しあわせ”の良い循環が起こる!」という理念をもとに、国が地方自治体や企業、民間団体などと共に、主に「環境」「健康」「観光」「安全」という4つの分野で整備を推し進めている、オールジャパンでの取り組みの呼称です。
参考:国土交通省HP
サイクリングの予備知識
サイクリング・ツーリング・ポタリングの違い
最近「ポタリング」という言葉をしばしば目にするようになってきましたが、サイクリングやツーリングは分かるけどポタリングって何?という人もまだまだ多いのではないでしょうか。改めて、それぞれの意味を簡単に見ていきましょう。
サイクリング・・・自転車に乗って走るのを楽しむこと。
ツーリング・・・オートバイや自動車で遠出するという意味もありますが、自転車の場合は目的地を決めて長距離サイクリングや自転車旅行をすること。
ポタリング・・・「のんびりする」とか「ぶらつく」という意味の「putter」に「-ing」をつけた和製英語です。目的地を決めずぶらぶらと散歩するようにサイクリングを楽しむこと。
ツーリングもポタリングもサイクリングに入る言葉になり、目的地を決めているか決めていないかで言葉を使い分けているようです。
サイクリングに適した自転車
通学や通勤に便利なシティサイクルやママチャリでももちろんサイクリングは楽しめます!安定感があり、たくさんの荷物もお子様も乗せることができ、そして安価なママチャリは海外でも注目されています。”mamachari”は”sushi”や”karaoke”などのように世界共通語にもなりつつあります!とはいえ、長時間&長距離のサイクリングをする場合はやはりスポーツタイプの自転車の方がよいでしょう。
また、スポーツタイプと一口に言ってもサイクリングのタイプや走行する場所、目的などによって適した自転車は変わってきます。たくさん種類がありますが、ここでは5種類の自転車を紹介します。
ロードバイク
細いタイヤ、前傾姿勢で空気抵抗を減らすドロップハンドルなど、スピードを出せるように設計された、もともとはレースのために開発された自転車。優れた操縦性で、高速走行、舗装された道路での走行に向いています。
マウンテンバイク
舗装されていない道路や山道向けの自転車。タイヤが太く、衝撃に強い頑丈なフレームを装備しており、凹凸の道でも快適に走行できます。
また、ギアの変速段数も多く、操作性の高いフラットハンドルのため扱いやすいのも特徴です。他の自転車よりも積載可能重量が大きいのでツーリングにも最適です。
クロスバイク
スピードの速いロードバイクと山道に強いマウンテンバイクを融合させたような自転車。フラットなハンドルとロードバイクのような細いタイヤで軽い車体。ママチャリよりも格段に速いスピードで走行でき、なおかつロードバイクが苦手とする凹凸の道でも走りやすいのが特徴。
長距離でも快適に走行することが可能です。スポーツタイプの自転車の中では安価な方なので、スポーツタイプが初めての人でも試しやすい自転車です。
ロード系ミニベロ
ミニベロとはホイールサイズが20インチ以下の自転車のことで、小径車ともいわれています。かわいい見た目から女性に人気で、長距離走行には不向きですが漕ぎだしがスムーズで小回りが利き、街乗りに便利です。
そんなミニベロと前述のロードバイクの特徴を併せ持ったのがロード系ミニベロです。ミニベロの利点である漕ぎだしの軽さと見た目のおしゃれさを残しつつ、ロードバイクと同様ドロップハンドルを採用し全身の筋肉を使って漕ぐことになるので身体への負担がかかりにくく楽に漕ぐことができ、少し長めの距離でも走りやすいのが特徴です。車体が小さいのでロードバイクやクロスバイクが大きくて乗れない小柄な女性などに向いています。
E‐Bike
E-Bikeはスポーツタイプの電動アシスト自転車です。バッテリー容量も大きく100km以上走れるモデルも多いです。重い荷物も運べ、ラクラクと長距離走行が可能なので、体力にはあまり自信がないけどツーリングが楽しみたい、という人などに最適です。
スポーツタイプの自転車をレンタルできる都内のショップ
スポーツタイプの自転車に興味あるけど高価だし購入する前に試してみたい、時々サイクリングを楽しめれば十分、などという人にはレンタルがおすすめです。
都内のレンタルショップをいくつかピックアップしました。
・Cycle Trip BASE(最寄り駅:銀座線「浅草駅」)
・B.B.BASEバイシクルステーション(最寄り駅:JR「両国駅」)
・STYLE-B (最寄り駅:JR、都営浅草線「五反田駅」など)
・Bicycle Run Akabane (最寄り駅:JR「赤羽駅」)
・narifuri Tokyo (最寄り駅:副都心線「北参道駅」など)
さらに便利な自転車のデリバリー専門店
【東京サイクリングツアー&レンタサイクル】
東京23区と千葉の一部地域内の宿泊先ホテルや自宅、会社など、希望の場所までスポーツバイクをデリバリーしてくれ、更に自宅や宿泊先ホテルはもちろんサービス範囲内なら有料駐輪場などでも乗り捨てができ、リーズナブルなレンタル料にデリバリー&ドロップオフの料金も含まれているという最強サービスのデリバリー専門店です。
【WHeeLING TOKYO】
東京23区内のホテルならどこでも、折りたたみ自転車をデリバリーしてくれます。電車やバスなど公共交通機関や店舗に持ち込めるので駐輪場所を気にする必要もなく、のんびりポタリングしながら東京観光を楽しめます。
シェアサイクルとは
近年「シェア=共有」という概念が注目されています。シェアサイクルは文字通り、自転車をほかの人とシェアするサービスです。
東京をはじめ全国の都心部を中心に拡大しています。事前に会員登録をしてスマートフォンを使って利用、クレジット決済、借りた駐輪場(サイクルポートやサイクルステーションなどと呼ばれています)と違う場所に返却できる、24時間利用可能など、フレキシブルに利用できる今の時代に合ったサービスです。
シェアする自転車は、スポーツタイプではありませんが、電動アシスト自転車も多いので快適です。気軽に都内をポタリングしたい時などには十分ですね。
都内にはたくさんのシェアサイクルの事業所がありますが、主な運営会社は「ドコモバイクシェア」「HELLO CYCLING」「PiPPA」「COGICOGI」です。それぞれに特徴がありますので興味のある人は比べてみて、自分に合った会社のサービスを利用してみてください。
サイクリングの必需品&あると便利なもの
ヘルメット・・・サイクリングに必須なアイテムといえば、まずはヘルメットです!普段使用してないと抵抗はありますが、命を守ってくれる大切な道具です。
フロントライトとバックライト・・・無灯火での走行は道路交通法違反になるので必ず装着しましょう。
サングラス・・・目に入る異物を防ぎ、紫外線を予防し、走行時の風による目の乾燥から守ってくれる必須アイテムです。
カギ・・・安心してサイクリングを楽しむためにカギは必需品です。ロードバイクなど高価な自転車なら盗難リスクも高くなるので尚更です。また近年はカギに加えてIOT通信技術で自転車を守る「AlterLock(オルターロック)」というサービスもあります。
身分証明書・・・例えお気楽なポタリングでも公道を走行する以上、事故やケガなどトラブルに遭遇する可能性はゼロではないので万が一に備えて必ず持参しましょう。
サイクルボトル・・・サイクリングは想像以上に汗をかくスポーツでこまめな水分補給がとても大切です!ペットボトルだと蓋があるので不便でこまめに飲むことができず脱水になる恐れもあります。真夏や長距離走行の場合などは2本用意するとよいでしょう。
パンク対策グッズ・・・本格的な長距離のサイクリングをする場合は特にタイヤのパンクやトラブルが最大の恐れになります。替えのチューブや携帯ポンプ、修理用品や工具など必需品になります。
スマホホルダー・・・知らない土地を走行する場合などナビが必須になりますが、いちいちスマホをバッグやポケットから取り出すのは面倒なので、自転車に取り付けられるスマホホルダーがあるととても便利です。とはいえ走行中に下向きで画面を見たり操作をするのは大変危険なので必ず端に停車して操作しましょう!
紫外線対策グッズ・・・ヘルメットとサングラスの隙間をカバーしてくれるサイクルキャップ、顔や首をガードしてくれる通気性のよいフェイスカバー、アームカバー、ロングタイプのグローブ、レッグカバーがあると万全でしょう。もちろんこまめに日焼け止めクリームを塗布することは必須です。
また、サイクリングに適した服装は風でばたつかず動きやすくストレッチ性のあるもの、速乾防臭効果のある素材など、いろいろポイントがあります。とはいえ、高価だし、ぴっちぴちのサイクルウェアにはちょっと抵抗がある…などというサイクリング初心者の人にはユニクロやワークマン、しまむらなどのファストファッションでも代用できます。参考URLはコチラ。
いざ、サイクリングに出かけよう!
クロスバイクの乗り方
スポーツタイプの自転車は、乗り方や走行中の姿勢などママチャリとは変わってきます。スポーツタイプの自転車が初めてという人はロードバイクよりクロスバイクがおすすめです。先ずはクロスバイクの乗り方の基本を学んで安全にサイクリングを楽しんでください。
東京のおすすめサイクリングコース
東京都心は地方と比べると交通量は多くなりますが、ここ数年で自転車専用道路もどんどん整備されてきていて、何よりアスファルトの道が多いので走りやすいです。
そしてサイクリングに優れたコースや魅力的なスポットがたくさんあります。歴史を辿るコースや有名建築物を巡るコース、湾岸の美しい景色を楽しむコース、アニメの聖地を巡るコース…など、自分の興味や好みに合わせて無限にコースはつくれます!
まずは気軽にシェアサイクルなどで、気になるエリアをポタリングしてみれば電車やバスの移動では知ることがなかった隠れた名店やスポット、魅力的な裏道など、きっと新たな発見がいろいろあるでしょう。
ロードバイクやクロスバイクなどで爽快にサイクリングを楽しんでみたいけど公道を走るのはちょっと怖いというスポーツ自転車初心者の人は、まずはサイクリングロードが整備されているコースからお試しすることをおすすめします。いくつか人気のサイクリングロードをご紹介します。
パレスサイクリング
一般財団法人自動車振興協会によって毎週日曜日に開催されているイベント。
皇居外苑の祝田橋〜平川門往復約3㎞のコースです。10:00〜16:00の間、コース内の4車線すべてが自転車専用道路として解放されます。自然豊かな皇居外苑を自動車を気にせず思いっきりサイクリングを楽しめる贅沢なイベントですね。
雨天中止、その他イベントについての詳細は一般財団法人自動車振興協会HPをご確認ください。
若洲海浜公園
都内でも有数のサイクリングスポットです。約6kmのサイクリングコースは気持ちのよい景色が広がり、東京ディズニーリゾートや葛西臨海公園、東京湾などを一望しながら、のんびり快適なサイクリングを楽しめます。(若洲海浜公園HP)
国営昭和記念公園
立川市にある国営昭和記念公園には全長約14㎞のサイクリングコースが設けられています。公園内は自然にあふれ、多種多様な花も咲いており、自然を満喫しながらサイクリングが楽しめます。(国営昭和記念公園HP)
荒川サイクリングロード
葛西臨海公園〜武蔵丘陵森林公園まで、荒川沿いに整備された全長約90㎞の都内最大のサイクリングコースです。サイクリストの間では「荒サイ」という愛称で親しまれているそうです。
葛西橋〜羽根倉橋間の約35㎞は道幅が広く、ごく一部の区間を除いて舗装されており快適なサイクリングが楽しめます。また荒川サイクリングロードは美味しいパン屋さんが点在しており「パン天国」としても有名です。(参考URL)
多摩川サイクリングロード
羽田空港近くから羽村取水口までの約60㎞のサイクリングロードです。こちらは通称「多摩サイ」です。コース内に景色のよい場所や観光スポット、スーパー銭湯などもあり、飽きずにサイクリングが楽しめます。(参考URL)
江戸川サイクリングロード
葛西臨海公園〜野田市・関宿城までの江戸川沿いに整備された約60㎞のサイクリングロードです。もう想像できると思いますが、こちらは通称「江戸サイ」です。川沿いに多くの駅があるため、途中でリタイアして輪行で帰ることもできるので安心です。ゴール近くには喜八堂さんというお汁粉と無添加煎餅が評判の老舗カフェがあり、サイクリストの間で有名です。(参考URL)
ガイド付きサイクリングツアーに参加してみる
ガイド付きのサイクリングツアーに参加してみるのもよいでしょう。経験豊富なガイドさんから色々学べるし、何より安心してサイクリングを楽しめます。いつか自分もサイクリングツアーのガイドをやりたいという人にもおすすめです。
サイクリングツアーガイドになるには
誰でも自転車に乗れるし、なろうと思ったら誰でもサイクリングツアーガイドになれます。しかし日本の道路状況に慣れていない外国人観光客や自転車に乗りなれていない人など、さまざまなツアー参加者たちを先導し責任もってツアーを催行する以上、正しい交通ルールの知識はもちろん、パンクなど修理のノウハウ、スポーツバイクの正しい乗り方、大勢のグループを安全にリードする技量…など、しっかり学ぶこと必須です。
以下はサイクリングツアーガイドの講習会を主催している協会です。ぜひ参考にしてください。
以上、サイクリングについてのあれこれ情報はいかがでしたか?まずは紫外線対策だけはばっちりして、シェアサイクルでの都内ポタリングやガイド付きツアーの参加など、ご自身に合ったスタートできる方法で、無理なくサイクリングを楽しんでみてください!
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