インターネットでほとんどの情報が調べられる時代になったとはいえ、やはりツアー前に現地へ足を運んでの下見をした方が安心です。今回は、現役通訳ガイドによる、ツアー下見のコツをお教えします。しっかりポイントを押さえて下見をしておけば本番前の不安がぐーんと和らぐこと間違いなしです!
【ガイドライター】
齋藤 一美(さいとう かずみ)
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2016年に英語全国通訳案内士資格取得。通訳ガイド派遣会社でのコーディネーター職を経てフリーランスの通訳ガイドに。コロナ禍の現在は前職の介護福祉士として高齢者ケアの仕事に従事中。グーグルマップを見ながら妄想旅のプランをあれこれ練ってるときが至福の時間。
下見に行く前に
アサインされたツアーが団体かFITか、など実際のツアーによって下見で確認するポイントも変わってきます。
まずは下見に行く前にツアーをイメージして、必要になりそうな情報を予測し、簡単に箇条書きなどでメモして下見の時に持って行けば確認漏れなども防げて便利だと思います。また限られた時間での下見になると思うので、効率よく全ての場所を周れるようにグーグルマップやネット情報などを活用して"下見ツアー"の行程を考えておくとよいでしょう。特に地方へ下見に行く場合は電車やバスの本数が極端に少ないので事前に時刻表を調べておくこと必須です!
ここでは団体のスルーツアーとFITの都内一日観光を例に下見のポイントやコツなどをまとめてみます。よかったらご参考にされてみて下さい。
団体のスルーツアー
先ず団体のスルーツアーの下見の場合、車がある人は良いですが、ない場合、可能な限り電車ではなく高速バスを利用することをおすすめします。
もちろん完全に同じルートにはならないでしょうが、高速道路などからの車窓から見える、ガイディング出来そうな、また質問されそうな目立つ場所や建物などを事前にある程度把握することが出来ます。
駐車場について
各スポットの駐車場の場所、駐車場からスポットまでのルート、所要時間などを確認します。
一般車とバスの駐車場が全く違う場所もあるので注意しましょう。また自由行動などで各自でバスまで戻る箇所の場合、迷子になりそうなポイントも確認しておくとよいでしょう。
トイレについて
各スポットのどこにあるか、何箇所あるか、ひとつの場所にトイレがいくつあるか(特に洋式トイレの数)、またスポットからスポットの移動時間が長くなりそうな場合、トイレの念押しをした方が良さそうな場所も把握しておくとよいでしょう。
バリアフリーの有無
杖歩行や車椅子などで参加されるゲストもいらっしゃるのでバリアフリーの有無を確認しておくことをおすすめします。特に古い神社仏閣などはバリアフリー対応していない場所があったり、バリアフリーのルートが大回りな場所もあったりします。
食事場所について
食事場所やメニューが決まってる場合は下見スポットから便利な場所でない限りわざわざ行く必要ないと思いますが(駐車場の場所など詳細は電話で確認)フリータイム中に自由食の場合などはおすすめ出来そうなお店をいくつかリストアップして場所の確認もしておいた方が良いでしょう。その際、海外の方はビーガンやベジタリアン、またアレルギーやハラルなど宗教上などで食事制限がある方も多いのでそういった方々にご案内できるお店も探しておきましょう。
宿泊場所について
宿泊場所は下見に行く頃にまだ旅行会社から最終の行程表をもらえてなく分からない場合もありますし、詳細は電話で確認すれば十分かと思いますが、もし場所が分かっていて車で下見で行ける方などは、最終の立ち寄りスポットからのルートや所要時間を確認しておけば、到着前の様々な案内をどの辺から始めたら良いかなどシュミレーション出来て良いかもしれません。
お土産について
おすすめ出来そうなお店を何軒か確認しておくとよいでしょう。その際お店の人に人気商品などを聞いたり、(無理のない範囲で)名産品などを自分で購入しておくとバス内での話のネタに便利かもしれません。
また、日本酒好きの海外の方も多いので酒蔵などあればチェックしておくとよいでしょう。
その他確認しておいた方がよいこと
雨が降った場合を考慮しておくことも大切です。雨宿り出来そうな場所はあるか、雨でもゲストが満足できるようガイディングができるヒントはあるか…など意識しながら下見をするとよいでしょう。また、出来るだけお店の人や地元の人たちと話をしてその土地ならではの情報など聞けるとよいかも知れません。時間があれば良い写真が撮れる絶景ポイントやアングルなども探しておくとよいでしょう。
FITの都内一日観光
FITのツアーは行程が予め決まってる場合や当日ゲストと会ってから希望を聞きつつ行程はガイド任せの場合などいろいろです。また、行程が決められていたとしても当日のゲストの気分次第などで変更を余儀なくされる場合もあるので、いろんなパターンを考えて下見をしておくことをおすすめします。
以下にFITツアーで必要になりそうなポイントをいくつか述べていきます。スルーツアーと重複する内容は割愛します。
ミートする場所
当然ですがゲストとミートする場所は確認しておきましょう。ホテルの場合がほとんどだと思いますが、その際フロントやコンシェルジュの方などにご挨拶しておくとよいでしょう。
駅で待ち合わせの場合は、ゲストが迷うことも想定して待ち合わせ場所以外の出口やそこからのルートなども確認しておいて、いざという時電話で待ち合わせ場所まで誘導できるようにしておくと安心です。
利用する可能性のある駅
タクシーやハイヤーなどでまわる場合もありますが、公共交通機関利用のツアーの場合、行く可能性のあるスポットの最寄り駅や乗り継ぎする駅のトイレやエレベーター、エスカレーターなどの場所を確認しておきましょう。ベビーカーや車椅子、杖歩行などのゲストの場合に備えて負担のない乗り継ぎルートを確認しておくと当日スムーズにご案内できます。ただ、駅によっては駅内の乗り継ぎルートに階段しかない場合もあります。最適なルートを駅員さんに確認しておきましょう。
また、ゲストと駅で待ち合わせの場合など、ゲストによってはスーツケースなど持っている可能性もあるので、念のため特大サイズのコインロッカーがある場所も確認しておくとよいでしょう。
食事場所について
旅行会社が手配している場合もありますが決まってない場合、ランチなどの場所がどこになっても良いように、行く可能性のあるすべてのスポット周辺のレストラン状況は確認しておきましょう。
雨の日の代替コース
都内は屋内施設が多いのでいくらでも代替場所があるから便利ですよね。とはいえ、土砂降りだとゲストのテンションもかなり下がります。少しでも心が晴れてもらえるようにゲストの趣向に合わせた代替場所を提案できると良いでしょう。そのために、小さなお子様がいる場合、アートに興味ある場合、庭園好き、買い物好き、歴史好き…など、あらゆるタイプのゲストを予想してコースを考えておくと良いかもしれません。(くれぐれも無理のない範囲で。笑)
休憩できるカフェなど
欧米の方は特に、普段はほとんど歩かないという方が多いので都内観光でたくさん歩く必要があることにびっくりされる方も多いです。ゲストが疲れていそうな時に休憩の提案を出来そうなカフェなどをいくつか調べておくとよいでしょう。その際、観光スポットのすぐ近くだと、週末などは混雑して入れない場合も多々あるので少し範囲を広げて探しておくことがおすすめです。
レシートや領収書は取っておく
下見で使った費用も確定申告の時に経費で計上出来るのでレシートなどは捨てずに保管しておきましょう。
以上、ツアー下見のコツについていかがでしたでしょうか?思いつく限り述べてみましたが皆さんにとって全ての情報が必要なわけでもなく、またもっと念入りな下見をされているガイドさんもたくさんいらっしゃると思います。違った視点からの一つの情報として少しでもご参考になれば幸いです。
まだまだ終わりの見えないコロナ禍の中、世の中に閉塞感も漂っていますが、再びインバウンドが盛り上がる日が来ることを信じて、お互いブラッシュアップを続けましょう!
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