全国通訳案内士インタビュー Vol.5 曽我悠さん

インタビュー

この記事では、第一線でご活躍されている通訳ガイドの方をインタビューし、コロナ以前/コロナ禍での自己研鑽の方法や、今後の目指す姿などをお伺いします。

第5回目となる今回は、インフルエンサーとしてもご活躍中の曽我悠さんにお話をお伺いします。ガイドを志したきっかけや、SNSの活用法を含む自己研鑽についてお伺いしました。

全7回のインタビューはコチラから。

ガイド紹介

曽我悠
2017年に全国通訳案内士試験(英語)に合格。コロナ禍以前、2019年はガイドとして年間100日程度稼働。主に建築を紹介しているInstagramのフォロワー数は(2022年6月の時点で)2.2万名以上。
Instagramアカウント:@haruka.soga

ガイドになるきっかけ

ーー ガイド歴を教えてください

2017年に資格を取得しました。当時は会社員かつ育休中でもあり、専業ガイドとしてデビューしたのは2018年の後半になります。

ーー ガイドを志したきっかけはありますか

子どもの頃に海外に住んでいました。日本よりも海外暮らしのほうが長いのに、学校の友達や先生から日本のことを質問され、毎回、”I don’t know.” と答えるしかなく。「いつか、英語で日本のことを紹介できる人になりたい」と思っていました。

大人になり、その思いは薄れていたのですが、東京2020オリンピックの開催が決まったとのニュースが入ってきて幼少時の思いがこみあげてきました。オリンピックで自分も何か出来ないかと調べてみたところ、全国通訳案内士の資格があると知り、志すようになりました。

ーー 会社員を辞めてガイドの道へ

資格を取得して1年後、会社に復帰しましたが、仕事のやりがいと子育ての両立で悩むことが色々あって。数か月後、どんな仕事でも子育てとの両立で悩むだろうから、ならやりたい仕事をしよう、とガイド専業となることを決めました。ガイドをやりたい、という思いが強かったです。

ーー どのようなツアーをされていましたか

都内にてFITが8割、残りの2割が団体の都内1日観光です。
FITの客層としてはAffluent (裕福層:年収1000万〜3000万)が多かったと思います。
HNWI(富裕層:2億円以上の財産)の方をご案内していたかどうか、恥ずかしながらあまり意識せずにいたので、よくわかりません。
専用車でのご案内は少なく、公共交通機関を用いての1日ツアーが主でした。

建築ツアー

ガイドに求められるスキル

ーー ガイドをしていく上で、求められるスキルとは何だと思いますか

ゲストの好みや関心を、いち早く察知する力だと思います。

加えて、お望みのものを素早くご提供したり、漠然としたゲストの要望から適した場所を提案・ご案内できる力でしょうか。

ーー 最低限の知識は持った上で、察する力がより重要だと

そうですね。

知識に限った場合、建築も然りですが、ガイド以上に詳しい専門家は沢山いらっしゃいます。ガイドによるご案内の価値とは、知識以上にサービス業ならではの気配り等にあると思います。

同じ内容を話すとしても、お客様が知りたいことをお聞きになりたいタイミングと情報密度で、ストーリーを持って面白く伝えられるのが、ガイドではないでしょうか。

知識は前提として不可欠ですが、それ以外のスキルこそ、ガイドならではの求められる部分かなと思います。

ーー 普段はどのように察知していますか

まずは、ゲストの全身をさりげなくチェックするように心がけています。
お召し物やどのようなカメラをお持ちか、など。
一通り外見から考察したのち、ゲスト同士の会話にも耳を立てるようにしています。

後は質問として、ツアー参加前には何をされていたのか、どこへ訪問されていたのかなど。
例えば先に関西へ行かれていた方であれば、真っ先に挙げられたものが、きっと関西で一番楽しかったのだろうと想像することができます。会話も大切ですね。

ーー 会話から相手の興味を察する。そのスキルを上げるために、何か取り組まれたことは

直接的ではないものの、システムエンジニアとしての前職の経験が活きていると感じます。
お客様の潜在的な課題や要望を聞き出していく、といったことを普段から行っていました。
結果としてそれが訓練になったのではないかと思います。

中銀カプセルツアー

自己研鑽とSNS活用

ーー 資格取得から今に至るまで、何かステップアップのためにされたことはありますか

新人研修後は、子どもと一緒に東京の下見をたくさんしました。研修で仲良くなった同期グループのガイディング自主錬会や、自分のウェブサイト作成なども。どれもやっておいて良かったです。また、ガイドの多い都内で子育てと並行してやっていくと考えたとき、得意分野の必要性を感じました。もともと建築とアートが好きだったこともあり、それらを集中して学ぶようになりました。

ーー Instagramの活用もその一環として

下見中に仲良くなった訪日客の若者からInstagramを見て行先を決めていると聞き、自分もやってみよう、と。当初の投稿に統一性はなく、子どもと巡る東京、食事や神社仏閣の投稿などしていました。

得意分野を建築とアートにしようと決めてから、投稿内容をそれらに絞ることしました。投稿するために対象の建築やアートについて自分なりに色々調べるのですが、写真だけ、事実だけの投稿にはせず、この建築やアートの何が素晴らしいかを自分の視点で伝えるようにしています。日本に見に行きたい、と思ってもらえるようにと考えて発信しています。また、なるべく自分が知らない単語や言い回しを取り入れて英語学習の機会にもしています。

それが功を奏したのか、目に留めていただける機会が増え、それならもっと頑張って投稿をしてみようかなと。益々勉強することにも繋がり、良い循環が生まれたと感じています。

曽我さんのInstagramより(https://www.instagram.com/haruka.soga/)

ーー Instagramで発信力をつけるにつれて、仕事に繋がる機会も増えたのでしょうか

はい。海外のエージェントから、うちに登録しないか、との問合せが多いです。
成約まで繋がるかは別ですが、およそ20〜30件程度は相談をうけていました。
キャスティング会社を通して、「東京を愛する建築&アートガイド」としてCM出演のオファーをいただいたこともあります。

ーー 建築をテーマとして、実際に色々と訪問されているかと思いますが、何か意識されている点などはありますか

下見をする際に、Google Map上でピン留めしていた情報を参考にしています。

SNSで関心のあるページをフォローしているので、自然と情報が入ってきます。その中で新しいものや行きたい場所が見つかれば、すぐにピンを立てて記録に残すようにしています。

ピンの数が増えるに従って、マップが読みづらくなるのが唯一の難点ですかね。

SNS活用という意味では、日本の若い人々の間で何が流行っているかを知るため、TikTokも見ています。特に富裕層のゲストは感度が高く、若者の動向を気にしていると聞いたので、バズっている食べ物や音楽、ファッションなどをチェックしています。

曽我さんのInstagramより(https://www.instagram.com/haruka.soga/)

対富裕層ガイドについて

ーー これから先の展望として、何か描いているものはありますか

今後は富裕層対応が求められていくと思いますが、正直なところ、思い悩んでいる部分もあります。富裕層の価値観や求めていることを真に理解するためには、同様の経済的ゆとりが必要なのでは、と思って落ち込みます。

富裕層対応の研修を受ける度、自分には無理かも、と落ち込みますが、対富裕層のスキルを身につけていくことは、富裕層に限らず様々なゲストの要求に対して柔軟に対応する力を身につけることだと思うので、まずはそこを目指して頑張っていきます。

建築ツアー

ーー これまで富裕層の方をご案内されてきて、大変だった出来事などありますか

思い出すのが、ニューヨークからいらっしゃっていた女性二人組のゲストです。

専用車で都内をまわったのですが、普段は喜んでもらえる観光地の案内がなかなか響かず、渋滞や美術館の行列などもうまく対応できなくて。

何のためにガイドを雇っているのかとさえ言われてしまいました。今振り返ってみても、気持ちが沈んでしまいますが、富裕層の時間感覚、美意識の高さ、特別な体験を求めるお気持ちなど、肌で知ることのできる機会でした。自分に足りていない部分がよくわかり、学びがたくさんあるツアーでした。

ガイドのやりがい

ーー ガイドとして落ち込むことがあっても、続けていくためのやりがいなどありますか

実りのある対話ができた、と思えた時にやりがいを感じます。お互いの国の良いところを交換しあって、これから世界がもっと良くなるためにお互いもっとこんな風に頑張っていこうね、といった内容の対話が出来たときです。私個人としても、幸せを感じられる瞬間でもあります。

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