30年以上に渡り、国内外のあらゆるお酒に関わる仕事をしてきたJWG現役通訳ガイド・岸原さんをゲストライターにお迎えし、外国人に教えてあげたい、日本の様々なお酒のいろはをお届けするシリーズです。
第一弾となる今回は、日本の食文化とお酒について。日本のお酒を、外国人ゲストに正しく、楽しく伝えられるよう、学んでいきましょう!
【ガイドライター】
岸原文顕(きしはら ふみあき)
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30年以上にわたり、国内外の様々な酒類のマーケティングや商品開発に従事。
世界3大ビールブランドのバドワイザー、ハイネケン、ギネスや洋酒類のブランドマネージャーを歴任。
居住したカナダ、香港、上海を拠点にして、世界各地の飲食文化に触れる。
2017年から京都に居住して、日本各地や世界に向けてクラフトビールの魅力を発信しつつ、未来型のビール文化の創造に取り組む。
現在は、グローバルマーケティング・リサーチの仕事を通じてNIPPONの素晴らしいブランドの海外展開に挑戦中。
ソムリエ(日本ソムリエ協会)、H.B.Aカクテルアドバイザー、全国通訳案内士(JapanWonderGuide)
訪日客の最大の目的は「日本食」
観光庁調査によると、海外からの観光客が、訪日前に期待していたことの第一位は、「日本食を食べること」(回答者数70.5%)だそうです。
また、日本滞在中にしたことでも、「日本食を食べること」が同じく第一位で、回答数はなんと96.2%。買い物よりも観光よりも、「日本食」なのです。
和食が2013年にユネスコの無形文化遺産に登録されたことも後押ししていますが、背景にあるのはやはり、日本独自の食文化の豊かさや、奥深さが魅力だからでしょう。
その日本食文化の魅力のひとつが、「お酒とともに食を楽しむこと」。
それを裏付けるように、「日本の酒をのむこと」は、日本滞在中に44.7%の方が体験し、その数は人気の「温泉入浴」を上回っているほどです。
以上から、私たちJapanWonderGuideが訪日ゲストに楽しんでもらい、より満足してもらうためには、「日本の酒」の正しい知識を身につけて、わかりやすく楽しく魅力を伝えることが求められています。
清酒や焼酎だけでなく、日本のビール、ワイン、ウイスキー、ジンのファンが世界中に増えている中で、いい加減で間違ったことを伝えるわけにはもういかないでしょう。
そこで、日本滞在、日本食文化を楽しくしてくれる「日本の酒」について、楽しく知識をつけていきましょう。今後、シリーズ企画でいろいろな種類の「日本の酒」について伝えていきますが、初回は「日本の食文化」の特色のひとつ、「飲みながら食べる、酒と食を一緒に味わう」という魅力についてです。
飲みながら食べる、酒と食を一緒に味わう
日本全国には飲食店が60万軒以上もあり、数だけでなくその種類の多さに訪日客は驚きます。
寿司、天ぷらからラーメンに至るまで、専門の職人達がしのぎを削ります。中でも訪日客を虜にするのが、全国津々浦々にあり、その数30万軒を超える居酒屋です。
魚介、肉類、野菜、山菜、発酵食など、春夏秋冬、各地の気候風土が育む自然の恵みを、料理人が、生で、焼いて、蒸して、揚げて、盛り付ける。それらが、驚きの安さで提供されるのです。
もちろん、お茶を飲みながらでも美味しく食べられます。でもそれだけじゃ、「MOTTAINAI」!
せっかくなら、日本のお酒と一緒に楽しんでもらうことをおすすめしましょう。
どんなに小さな居酒屋でも、日本酒、焼酎、ビール、ワイン、ウイスキー、チューハイがあります。
席に着いたら、まずはお酒の注文からスタートすること、お通しがあることをしっかり伝えましょう。居酒屋は料理だけでは利益が取れず、お酒を飲んでもらうことで商売が成り立っていて、飲み物を頼むことはエチケットです。
また、お通しが有料であることが店と訪日客の間のトラブルになることがあります。
お通しは、メインの料理が出てくるまでの間に、お酒と一緒に楽しんでもらう「アテ」の役割を果たします。まさに、「飲みながら食べる」の日本の食文化の流儀の現れです。
そのことを理解してもらい、日本の食文化への敬意を払ってもらうようにすることは、日本文化アンバサダーである通訳ガイドの大切な役割です。
今回は、ここまで。
次回からは、日本のお酒の楽しい世界をどう伝えるかについて書いていきます。
「とりあえずビール=Toriaezu Biiru!」だけじゃない、素晴らしい日本のビール文化についてです。お楽しみに!
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