自然環境と地域の文化を守る。サステイナブルツーリズムとは?

サステイナブルツーリズムとは通訳ガイド/通訳案内士

大量の観光客が押し寄せ、環境汚染や自然破壊などの現象が起きる観光地と、地域の自然や文化を活かした観光地とどちらが望ましいでしょうか?
自分たちにとって楽しい旅行でも、観光地の方々の生活を崩す観光は避けたいですよね。

今回は、持続可能な観光を目指す、サステイナブルツーリズムについて一緒に学んでいきましょう。

サステイナブルツーリズムとは?

サステイナブルツーリズム(またはサステナブルツーリズム)という言葉をご存知でしょうか?
英語では「Sustainable tourism」と言い、直訳すると「持続可能な観光」です。

観光地の本来の姿を持続的に保つことができるように、観光地の開発やサービスのあり方を見定め旅行の設定をする取り組みです。

戦後、経済の発展とともに観光の大衆化(マスツーリズム)が進展し、環境汚染や自然破壊などの現象が見られるようになってきました。
そんな状況を踏まえ、1995年に「観光産業のためのアジェンダ 21」にサステイナブルツーリズムの考えが盛り込まれました。そこから、自然環境や地域の文化に配慮し、本物を体験し味わうことなどを通し、観光地に住む住民と観光客とが相互に潤うことが重要との考えが生まれています。

サステイナブルツーリズムのポイント

サステイナブルツーリズムのポイント

では、どういった観光の仕方がサステイナブルツーリズムになるのか具体的に見ていきましょう。

自然環境に配慮する

自然が持つ本来の姿を維持し続けることはサステイナブルツーリズムにとって、とても大切なポイントです。

・ゴミを持ち帰る
・観光スポットへの人数制限
・宿泊施設のアメニティを再利用可能なものにする
・車両の排気ガス規制
・自然保護区域への立ち入り制限

などが具体的に挙げられます。

伝統文化を維持する

旅行先の地域文化や伝統文化を維持することもサステイナブルツーリズムの考えで重要視されています。
地域活性化のための観光資源と捉えられる伝統文化ですが、経済活動のためにどんどん変化している地域も少なくありません。

・旅行先の歴史や伝統文化を知る
・地域の特産品に触れる
・地域のお土産を購入する

旅行先の地域の方々が大切にしている習慣や文化を見つける旅は豊かな気持ちになれるでしょう。

住民の暮らしに配慮する

その地域が観光地化すると、活気が出て経済的に潤うという考えもありますが、一方で地域住民の生活が危ぶまれている可能性もあります。生活する上で必要不可欠な公共交通機関が定員オーバーになったり、ゴミが増えたり、外部からの企業の進出やさまざまなサービスの導入も観光弊害と言えます。

・民家の近くは静かに観光する
・観光用の公共交通機関を調べて利用する
・道に広がらない
・撮影可能場所か考えて写真を撮る

住民の暮らしがあることを忘れずに、「おじゃまさせていただきます」の気持ちは常に持ち歩きましょう。

サステイナブルツーリズムのツアー例

サステイナブルツーリズムの例

次に、サステイナブルツーリズムの実例を考えていきましょう。

自然体験などのアウトドアアクティビティツアー

地域の自然を活かした体験アクティビティが近年注目を浴びています。トレッキングや川下り、キャンプなども挙げられます。現地の人々の雇用にも繋がるという点で見ても持続可能、サステイナブルツーリズムと言えるでしょう。

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歴史文化の体験や見学ツアー

旅行先の地域文化や伝統文化を維持するために、歴史文化の体験や見学ツアーも多く企画されています。中々現地に行けない場合でも、オンラインツアーという旅行の形も最近話題になっています。

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国立公園の散策ツアー

国立公園の散策やハイキングをコースにした観光プランも少しずつ増えています。日本には、34個の国立公園があり、自然の中で四季を楽しむこともできます。

環境省_国立公園_国立公園へ出かけよう!

インバウンドとの関係

錦市場

サステイナブルツーリズムはインバウンドへどのような効果があるのでしょうか。通訳案内士/通訳ガイドの皆様は気になるポイントですよね。
訪日外国人旅行者が急激に増加したことにより、有名な観光地のみならず、「日本らしさ」を求めてさまざまな地域を訪れる旅行者のニーズも高まっています。

サステイナブルツーリズム国際認証

2008年に国際自然保護連合「第5回世界自然保護会議」において、サステイナブルツーリズムのための基準である「世界規模での持続可能な観光クライテリア(GSTCクライテリア)」が発表されました。それがまさに【サステイナブルツーリズム国際認証】です。

世界持続可能観光協議会(GSTC:Global Sustainable Tourism Council)が認定する認証機関が以下の4つを基本の柱とし認証を行っています。

1.持続可能な経営管理
2.地域コミュニティの社会的・経済的利益の最大化と悪影響の最小化
3.文化遺産の魅力の最大化と悪影響の最小化
4.環境メリットの最大化と悪影響の最小化

世界共通の国際認証のため、認証を受けていれば、自然環境や文化を守る意識の高い観光地であるとみなされます。意識の高い外国人ゲストは、好んで訪れるでしょう。

日本エコツーリズムセンター

残念ながら日本にはまだ、サステイナブルツーリズム国際認証を受けている観光地や機関がないのが現状ですが、日本でサステイナブルツーリズムを広めようと活動しているのが日本エコツーリズムセンターです。

人口減少や高齢化による地域過疎化でインバウンドに積極的な地域などに対し、来訪客数や観光コンテンツを増やすのではなく、あくまでも地域が持続する活力を得て、住む人も訪れる人も幸福感を得る仕組みをつくるためにはサステイナブルツーリズムの考えが重要だとし、国際認証を得るためのサポートやサステナブルツーリズムを広めるためのセミナーを全国で開催しています。

エコセン – NPO法人日本エコツーリズムセンター

ここまで読むと、自分ではどんなサステイナブルツーリズムができるんだろうと考える方も多いと思います。


マイボトルやマイ箸を旅先でも持ち歩く、大手チェーンの飲食店よりも地元の方が営業されているお店で食事をとるなど、意外とできることはあるかもしれません。
サステイナブルツーリズムが日本でもより広まって、旅行者と観光地や地域住民双方に幸せな旅行に繋がるといいですよね。

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