全国通訳案内士インタビュー Vol.3 金田真紀子さん

インタビュー

この記事では、第一線でご活躍されている通訳ガイドの方をインタビューし、コロナ以前/コロナ禍での自己研鑽の方法や、今後の目指す姿などをお伺いします。

第3回目となる今回は、学生向けから富裕層まで、幅広い客層のゲストの心を掴むエクセレントガイド・金田真紀子さんにお話をお伺いします。ガイドの極意と、スキルアップ方法などをお伺いしました。

全7回のインタビューはコチラから。

ガイド紹介

金田真紀子
全国通訳案内士と京都ビジターズホストの資格を2016年に取得。資格取得以前は音楽系のイベント業界に勤務し、外国人アーティストの通訳兼アテンドを経験。

ガイドになるきっかけ

ーーー 通訳案内士を目指そうと思ったきっかけは?

 そもそも音楽系などイベント業界で働いていたのですが、日本に来られたアーティストの方々や、ビジネスで日本に来られた外国人の方々の通訳兼アテンドをやっていました。みなさん休日の時には観光に行きたい方が多くて、お連れしたりしていたのですが、その場で質問に答えることが出来ない自分を非常にもどかしく思っていました。
例えば京都に行ったとき、詳しい話を聞きたい人は、私とは別にガイドを雇ってきておりまして、そのときに「ガイドさん、すごいなぁ」と思ったんです。そこで通訳案内士の資格を取ろうと思いました。

 私は元々大阪出身なのですが、以前は東京に住んでいました。主人と結婚し、ちょうど関西に帰るタイミングで京都に住むことになり、英語を活かすことが出来るガイドは面白いなと思って、2016年に資格を取りました。

仕事の獲得方法

ーーー 一番初めのころはどのようにガイドの仕事をとっていましたか?

 ライセンスをとっただけでは経験も繋がりもないので、一般の方は通訳団体の研修を受けられていると思うのですけど、そういった団体には入っていませんでした。
私は京都のビジターズガイドの一期生だったので、最初は京都市や、ノットワールドさんのような旅行会社を介してお仕事を頂いていました。いろいろなモニターツアーをつくる際にお声がけいただいたり、ガイドとはちょっと違いますが、海外メディアの通訳などの対応をさせて頂きました。
また「クレマチス」という京都でガイドを探せるマッチングサイトがあって、そこでお仕事をいただくこともありました。

ーーー コロナ前は年間でどのようなお仕事を?

 ここ数年は、3種類の仕事をしております。1つは昔からやっている海外とのコレポンを手伝ったり、2つ目はいろいろなイベントがあったときに通訳をさせて頂いたり、最後はガイド業ですね。ガイド業は2016年の初めはインバウンドバブルがあってお仕事も良い具合に頂けました。2018年には103回、2019年には95回ガイドをしました。この2年ほどで合計延べ2000人弱のガイドをしてきて、VIPの方や、学校の団体のグループなど、ゲストの方は様々でした。

ーーー 国籍でいうとどのような方が多かったでしょうか?

 国別で言いますとやっぱり欧米ですね。80%ぐらいが欧米で、そのうちの60%がアメリカ、あとはイギリスや他のヨーロッパ諸国の方々でした。残りの10%はアジアからのお客様。2019年には中東の方もいらっしゃいました。
客層としましては、ファミリー層が6割、VIP層が1〜2割、あとは留学生向けのツアーでした。

ーーー 富裕層向けのツアーと他のツアーの間に違いはありますか?

 富裕層向けとはいえいろいろな方がいらっしゃいますが、過去の例として、王族の方の担当をした時、プライベートで来られていても、セキュリティがもちろん付いていましたし、旅行行程の中にエクスクルーシブで特別にお願いして入る場所もありました。私以外にも、トラベルエージェントや海外のトラベルデザイナーの方など、お付きの人が多かったです。

ーーー 今、若いガイドが少なくて大変ですよね。

 今の現状では特に新人ガイドが生計を立てていくのは厳しいですから、やっぱり難しいのだと思います。あと、ガイド業でやってることは凄く大変なのに、ガイドは社会的にも地位が低いと思うんです。ガイドが憧れの職業になる、というのと、現実としてそれだけで生計を立てていけるという事が、若い人にガイド業を目指してもらえるポイントなのだと思います。

ガイドに必要なスキル

ーーー 今まで富裕層向けツアーと一般向けツアーのガイドをやってきて、それぞれで求められるガイドスキルをお伺いしたいです。

 ベースはどちらも基本的に同じで、お客様とのエンゲージメントを取れたら最高なのですが、ファミリー層で来られる方には気配りが出来て、明るく対応できることだと思います。知識はもちろん大事ですが、知識だけあって、ただ事実を喋っているだけというよりは、お客様を一緒に楽しませるスキルが重要です。タイムマネジメントのようなガイドとしての基礎スキルも大切ですが、雰囲気を読むなどのスキルを身につけておくと、いろいろな対応がしやすいです。

 VIP向けの対応として一番大切なのは、空気が読めることですね。機転を効かすなどのトラブル発生時の対応能力です。あとは周りの方からの指示が多いので、エージェントの方やトラベルデザイナーの方と連絡・報告がきっちりできるハンドリング能力が求められていると思いますね。

自己研鑽について

ーーー 2016年の初期の頃、自己研鑽のために何かやっていたことはありますか?

 自分の過去の経験からアテンドは慣れていましたので、知識の部分ですね。学生時代は地理や歴史は全然ダメでしたので…。特に京都は深いので、テレビを見たり、本を読んだり、現地に行ったりして知識を深めました。
あとは相手をどうやって笑わせるか、どうやって相手の心を掴むことが出来るかに重きを置いていくようになりました。ですからあまりガッツリ知識を言わなくても、それよりは関西のノリのような、誰にとっても分かりやすい面白いガイドを心がけていました。

今後の自分の展望

ーーー コロナが終わった後の今後の目標はありますか?

 ちょっとまだ決まっていないですね。せっかく富裕層向けの研修をやらせていただくことがあったので、今後も富裕層向けのガイドが出来ればいいなとは思っています。
とはいえ、学生団体向けのツアーも楽しいので、そちらもやっていきたいです。過去に大学へ短期留学で来ている留学生向けのエクスカージョンのツアーがあり、例えば金閣寺に行く前に教室で少し金閣寺について事前レクチャーしたり。そういったことも面白いですし、自分としても資料作りなどすごく勉強になりました。ですから、VIP向けツアーもやりつつ幅広い層に向けて今後はやっていきたいですね。

ーーー  ガイドだけではなく、学生向けのツアーなどでガイド+教育の先生としてやっていきたいということでしょうか

 先生までは全然いかないですが、将来的には若い世代や海外の方へ何か伝えられたらいいなと思っています。今はまだまだそういったスキルが足りないですが。

ーーー 金田さんにとって、ガイドを続けるやりがいとは?

 やっぱりお客様と話せて一日が楽しいですね。下見、下調べなどの準備はとても大変ですし、ツアー当日はお客さまに気を遣って体力も使いますが、私は元々いろいろな方とお話しするのが好きなので、ガイドを通じていろいろな方と知り合えて、その方々と旬な良い場所を一緒に楽しむことができますから。ツアーが終わった後、相手から「ありがとう」と言われると「あぁ、やってきてよかったな」とやりがいを感じますね。その積み重ねです。

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