福島県浜通りの一大イベントの「相馬野馬追」。
国の重要無形民俗文化財に指定され、2019年は延べ約16万3,000人の観客が訪れるほどの人気を誇る祭典です。新型コロナウイルスの感染拡大により、2020年、2021年は相馬野馬追の大部分の行事は中止されました。しかしついに、今年2022年には、3年ぶりに相馬野馬追が通常開催される予定です!
この記事では、そんな相馬野馬追についてご紹介します。
【この記事を書いているのは…】
エダ アサヒ
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福島県中通り出身。好きな福島フードは、とら食堂のチャーシュー麵と木乃幡の凍天。
相馬野馬追について
相馬野馬追は福島県南相馬市、相馬市で行われる一千年以上も前から続く伝統行事です。
およそ400騎の騎馬武者が甲冑を着て、腰に太刀、背に旗指物をつけ野原を疾走します。
この相馬野馬追は、相馬中村藩の先祖とされる平将門が、馬を敵兵に見立てて放ち、軍事演習に応用したことから始まったと伝えられています。そして、捕らえた馬を神馬として、氏神である妙見に奉納しました。
しかし、明治維新の廃藩置県により中村藩がなくなったり、野馬も全て捕獲されたりしたことでこの行事は一度中断しました。その6年後に始まった相馬中村神社・相馬太田神社・相馬小高神社の三社合同の野馬追が、今の相馬野馬追の原形となっています。
それから現在まで、野馬を奉納して相馬地方の平和と安寧を祈る神事として、この旧藩領あげての最大の祭典は行われてきました。
お祭りの詳細
開催時期
相馬野馬追の開催日は、毎年7月の最終土・日・月曜日の3日間と決まっています。
2022年は7月23日(土)、24日(日)25日(月)です。
会場
出陣式の会場
出陣式が行われるのは、相馬三妙見社の相馬中村神社、相馬太田神社、相馬小高神社です。
相馬中村神社
相馬中村神社では、総大将出陣式が行われます。神社の階段の手すりに馬、入口にも狛馬と馬が沢山います。また、神社の入口には本物の馬もいますよ!
馬の神社ということで競馬ファンの参拝客が多いそうです。
相馬太田神社
相馬太田神社では、中ノ郷勢の出陣式が行われます。
ここは、鎌倉時代に相馬氏が移り住んだ際に、初めて住んだ場所とされています。
神社には、馬に関する願いなどを奉納する白い馬の置物があります。また、社殿にも馬が彫刻されているのでぜひ見てみてください。
相馬小高神社
小高郷の出陣式が行われるのが、相馬小高神社です。
馬の守護神として信仰されています。
奥州相馬氏の居城だった頃は、この城を拠点として、南北朝の動乱や伊達氏との抗争を繰り広げました。
また、高台から街並みを眺めるのにおすすめです。
メイン会場
南相馬市原町区にある雲雀ヶ原祭場地(ひばりがはらさいじょうち)です。
常磐線原ノ町駅から車で約10分
常磐道南相馬I.Cから車で約15分
※相馬野馬追2日目(本祭り)開催時は、原ノ町駅からシャトルバス運行(所要時間約10分)
日程表
相馬野馬追の日程表は、地区(相馬市、南相馬市鹿島区、原町区、小高区)によって異なります。
3日間行われる相馬野馬追の見どころをご紹介いたします!
初日(土)ー出陣・宵乗り競馬
1日目は、3社それぞれで行われる「出陣式」、騎馬武者の口上や作法を見ることができる「総大将お迎え」、陣羽織姿の若武者が走る「宵乗り競馬」が行われます。
出陣式は、相馬中村神社・相馬太田神社・相馬小高神社の三社にそれぞれ集合して行います。国の重要文化財に指定されている相馬中村神社の出陣式は、総大将を擁するためとくに厳かです。
出陣の準備が整うと法螺貝の合図とともに出陣し、市中を一巡して、南相馬市鹿島区の北郷陣屋へと向かいます。
あまり知られていませんが、北郷陣屋には、他郷騎馬は許可が無ければ入れません。警備担当騎馬に入り口で口上を述べた後に許可をもらって入る必要があります。許可をもらっている場面もぜひチェックしてみてください。
総大将出迎えの儀を終えた後は、雲雀ヶ原祭場地へ向かいます。
雲雀ケ原祭場地では、宵乗り競馬が行われます。陣羽織姿の若武者が1周約1000メートルの馬場を走る姿は圧巻です。
二日目(日)ー 本祭り(お行列、甲冑競馬、神旗争奪戦)
二日目の本祭りでは、400騎あまりの騎馬武者が、約3kgの神輿を擁し市中を進軍する「お行列」、旗指物をなびかせ駆け抜ける「甲冑競馬」、舞い上がった御神旗を騎馬武者が取りあう「神旗争奪戦」が行われます。
お行列は、三番螺、陣太鼓の出発の合図によって始まります。隊列を整えながら、野馬追通り 小川橋から、約3km先の雲雀ヶ原祭場地を目指します。
「お行列」を観るときの注意点は、上から「お行列」を眺めてはいけないということです。神様を見下すことになるため、建物の2階にいても沿道に出てきて観るようにしましょう。
甲冑競馬は、背中に旗を指した騎馬武者が、1周1000メートルを疾走する競技です。風を受け背の旗がはためく音や、駆け抜ける馬たちの蹄の音をぜひ直接お聞きください。
神旗争奪戦は、甲冑に身を固めた騎馬武者が、空に舞う御神旗を取り合います。
御神旗は花火の玉の中に2本ずつ詰められて、花火が炸裂すると空に舞って落ちてきます。そのご神旗を目指し、落下地点に数百騎の騎馬武者が群がります。そこで、ご神旗を掴んだ武者は、坂を駆け上がり、本陣に報告します。
最終日(月)ー野馬懸
3日目は、野馬懸が相馬小高神社で行われます。「野馬懸」は、昔の名残をとどめる唯一の神事とも言われています。まず騎馬武者が馬を小高神社境内に追い込みます。そして、御神水を含んだ駒とり竿で、御神馬となる馬に御印を付けます。そのあと、身を清めた白鉢巻に白装束姿の御小人たちが馬を素手で捕らえます。1頭目に捕らえた馬が神前に奉納されるそうです。
観覧チケットについて
2022年の観覧チケットについては、現在販売方法や販売内容は発表されていません。
過去の観覧チケットの種類や値段を掲載するので、観覧チケットの購入のご検討の参考までに。
甲冑競馬・神旗争奪戦が行われる「雲雀ケ原祭場地」は、チケットなしでは入場できません。また、お行列を座って観覧できる、行列観覧席もチケット販売しております。
団体観覧指定席(20名以上)
対象行事: 甲冑競馬 神旗争奪戦
場所: 雲雀ケ原 祭場地
料金: 1,500円/人
入場観覧券(当日券)
対象行事: 甲冑競馬 神旗争奪戦
場所: 雲雀ケ原 祭場地
料金: 1,000円/人(高校生以上)
行列観覧席(4名以上)
対象行事: お行列
場所: 野馬追通り
料金: 2,500円/人
場内撮影許可証
対象行事: 甲冑競馬 神旗争奪戦
場所: 雲雀ケ原 祭場地
料金: 4,000円/人
参加資格
馬を乗りこなす技術が必要ですが、そのほかに騎馬会への所属が必要です。
参加者は、地元の方である必要はありません。関東地方の乗馬クラブや大学の馬術部の方も参加されています。また、お祭りに一緒に参加する馬は、9割ほどが元競走馬だそうです。他の地区からお借りする方もいるそうで、自宅で馬を飼育していない方でも、参加可能です!
初出場したい方に
相馬野馬追に参加してみたい方に嬉しいサービスが開始しました。南相馬市ではこの伝統のあるお祭りに多くの人に参加してもらおうと、初めての方が相馬野馬追に出場しやすいよう手厚くサポートする「初陣世話人制度」という取り組みを2022年から始めました。
サポート内容
①騎馬会への仲介
相馬野馬追に出場するためには「騎馬会」に入会する必要があります。そこで、騎馬会を市が仲介人となって紹介してくれます。
②出場準備の手伝い
出場のための馬の手配や出場する手続き等を、入会した騎馬会の「世話人」と呼ばれるベテランがお手伝いしてくれます。
甲冑馬具工房 あべ
甲冑には、補修などメンテナンス作業が必要になります。甲冑に使用されている皮革・木材・金属等の材料は、経年劣化を避けられません。
南相馬市にある「甲冑馬具工房 あべ」では、古式馬具や甲冑の修理、販売を行っています。相馬野馬追の出場者が使う甲冑の修理や新調などを引き受けています。店内には、兜や刀などが飾られています。
着付けをしてもらった方もいるので、事前に電話でお願いをしたら、着付けもやってくれるかもしれません。
相馬野馬追についてご紹介いたしました。
皆さんは、特にどの種目を観てみたいですか?
動画で観るのとでは、やはり迫力が違うので、ぜひ生で観てみてください。
7月に「相馬野馬追」を見に行く際は、浜通りの3.11の震災遺構や被害にあった町を訪れてみてはいかがでしょうか。
あなたにおすすめのツアー
相馬野馬追が開催される相馬市、南相馬市も、東日本大震災では大きな被害を受けました。
弊社では、福島沿岸部訪問ツアーを催行しています。地元の方から震災当時の状況から現在までのお話を聞いたり、ガイドの説明を聞き11年経った現在の復興状況と今後どうなっていくかをより深く学ぶことができます。
コロナ禍において不定期でツアーを実施しているので、是非サイトも覗いてみてください。
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