ガイドにも役立つ!~声、喉、発音(英語)の話~

通訳ガイドスキルアップ

発声について

皆さんは、「発声」と聞いて、何を思い浮かべるでしょうか。

私は、かの名作コミック『ガラスの仮面』(美内すずえ先生作)の中で、劇団員たちが「アメンボアカイナ、ア、イ、ウ、エ、オ」と大声で発声練習をするシーンを思い浮かべてしまいます。
ちなみにこれは北原白秋作『五十音』(通称「あめんぼの歌」)の作品の冒頭部分で、劇団などの発声練習でよく使われています。
発声をよくするために、この発声練習をすれば良いかと言われると、たしかに日本語の滑舌の練習にはなるものの、海外のゲストをお迎えする通訳案内士/ガイドの皆さまは、また別のアプローチが必要になってきます。

まずは日本語と英語の違いについて考えてみましょう。
手をお腹にあてて、いつも人に話しかけるように、日本語で「こんにちは」、そして英語で「HELLO」と言ってみてください。英語の時はお腹が動いていますよね。
そう、英語は腹式呼吸の言語なのです!

日本語でも、訓練を受けて腹式呼吸で話す方もおりますが、大抵は胸式ですんでしまいます。
やはり腹筋が必要になってくるわけですが、ここで使う腹筋は六つに分けるためのものではなく、簡単に力を入れて、抜く、という単純な動作でつくものです。
手をお腹にあてて、息を吸うときはお腹を膨らませ、吐くときはへこむことを意識して、腹式呼吸をしてみましょう。
たっぷりと鼻から息を吸って、吐くときは口から、吸ったときより時間をかけてゆっくり息を吐ききります。

腹式呼吸ができて、発声できれば、ある程度大きな声を出すことができます。

喉について

「声が通らない」「声が小さいのが悩み」という方、キーワードは三つです。
「リラックス」、「喉のことを知る」、そして「声のベクトル」です。

喉や身体の緊張やこわばりにより、声は出づらくなったり、震えたりします。
初めてのツアーで緊張することもあると思いますが、自分なりのリラックス方法を考えましょう。
思いきり身体に力を入れて抜いてみる。
ホットコーヒーを飲む。
音楽を聴く。
仕事前のルーティーンを決めておくのも有効だと思います。
(もちろん事前準備を全て終えてあることは大前提です!)

次に、「自分の喉のことを知る」ですが、
声はどこから出ているか皆さんは知っていますね?
そうです、声帯の振動により音が発生します。(声帯の周りにも筋肉があり、使いすぎれば疲労するし、鍛えれば強くなります。)
人によって喉の強さは違います。すぐに喉が枯れる人もいれば、全然平気という人もいます。

乾燥しないように水分を少しずつこまめにとること、急に冷たいものや温度差のあるものをとらないように気をつけましょう。マスクは湿度を保つので喉には良いですよ。
カラオケなどで適度なアルコールをとって歌うと声帯が活性化して声が出るようになりますが、飲み過ぎや歌いすぎは脱水症状の原因になったり、声帯が充血してポリープの原因にもなります。
どの程度まで大丈夫で、これを過ぎるとまずいというラインは人によって違うので、普段から意識して自分の喉のことを知ることが大事です。

声がくぐもりがちな人は、一度、離れた位置にいる友達や家族に声をかけてみて下さい。
または、後ろにいる人にわざと聞こえるように話してみて下さい。
(例えば、後ろに岡ひろみがいるのを知っていて「なんで岡さんが選手に選ばれるの?音羽さんの方が全然上手なのに!」と聞こえよがしに言う)
そう、声には飛ばす方向(ベクトル)があるんです。

遠くに声をとばすとき、無意識に声を口の中で響かせていませんか。
人の身体は楽器と一緒です。ハミングで口の中、おでこ、頭の上、お腹の方と意識していろんな所を響かせてみましょう。
そして声を出してやってみて下さい。新たな自分の声を発見できるでしょう。

喉をしめ、力を入れて大きな声を出すのではなく、リラックスして、お腹に空気を入れて、語りかける人を意識して、大事な事を伝えたいという思いを込めて話すと、不思議と声は変わってきます。

英語の発音について

最後に、少しだけ発音について触れましょう。
かつて植民地政策を拡大していったイギリスは、効率的に英語を教える必要がありました。
そこで大事になったのは、母音と子音の発音です。
皆さんは、日本で正式な「アイウエオ」の発音を習ったことがありますか?
「標準英語」は、「口の中の形」「唇の形」「舌の形」すべて正式なポジショニングが決まっています。母音だけ見ても、日本語はアイウエオの5つですが、英語は11以上と言われています。

英語の発音の本は色々出ていますので、気になる方は納得のいく一冊を探してみて下さい。

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