私が見た福島沿岸部の今 Vol.4

福島の今

日頃外国人をガイドしていると”FUKUSHIMA”について尋ねられることがあります。
しかし、日本人でも福島県の浜通り(沿岸部)に足を運ばれている方は少ないのが実情です。
また、現地に訪れたとしても人の捉え方は様々です。

この度、ガイドとして活躍される方々に福島に足を運んでいただき、現地の様子をレポートいただきました。
複数の方の目線を知ることで、多面的に「FUKUSHIMAの今」を感じていただければと思います。

シリーズ第4回目の更新です。
(シリーズはこちらから)

=====

筆者紹介:坂岡恵美子

1986年より英語通訳案内士として、主に欧米のお客様を全国各地に案内。
日本の歴史、伝統だけでなく、現状も伝えるよう日々努力している。

=====

8月27日午前8時、東京駅丸の内北口。
私は株式会社ノットワールド主催の福島視察ツアーに参加するため、
参加者12名のうちの一人として、煉瓦の駅舎の前にいた。

私がこのツアーに参加申し込みしたのは、
今現在の福島がどうなっているのかを、この目で見て、
私が日ごろご案内している外国のお客様に「福島はどうなっているの?」と尋ねられた時に、
正確にお答えしたいからだった。

行程は、以下。

  • 1日目 富岡町さくらモールで昼食、富岡町廃炉資料館、富岡町内見学、楢葉町遠隔技術開発センター、J-Village 泊
  • 2日目 中間彫像工事情報センター、浪江駅周辺見学、まちなみマルシェ・イオンで昼食、希望の牧場、請戸エリア見学、花卉栽培農家見学

ツアーでまず強く印象に残ったのは、3.11はまだまだ終わっていない、ということ。

毎日3500名以上の作業員の方々が、
ガイガーカウンターをつけて、福島第一原発で廃炉作業にあたっておられることは、
廃炉資料館で数字を見て、初めて現実のこととして受け止めることができた。

また、未だ52000人もの住民が避難生活を強いられていることも、現実だ。

ただ、嬉しいこともあった。

それは避難指示、居住制限区域指定が2年前に解除になった浪江町にもどり、
花卉栽培を始めた方々にお会いできたことだ。

その方々の未来に向けて頑張っておられる姿は、非常に頼もしく、
また、来年には2名の若者が新たに花卉栽培に就農するとの情報は、
原発事故被害地域にも明るい光がやっと射してきたのだと感じることができた。

この方々は浪江フラワープロジェクトに参加している農家さん達で、
トルコキキョウとストックを栽培しておられる。

素晴らしいのは、たった1年の栽培経験で、
東京大田市場で高評価を得、その花が高値で取引されていることだ。

笑顔も素晴らしく、前に向かって力強く進んでおられる姿は、本当に勇気づけられるものだった。

また、宿泊したJ-Villageホテルは、大変綺麗で、
ここが原発事故後に作業員宿舎に転用されていたとは、
その時の写真を見るまでは、想像が難しいくらいだった。

今は、グラウンドの芝も美しく整備され、
私たちが宿泊した際も、サッカーやアメリカンフットボールの合宿が行われており、
若者たちが大勢宿泊していた。

来年の東京オリンピックの聖火リレーは、ここが出発地点になるとのこと。
ますます多くの人がこの地域を訪れ、地域の活性化に寄与してくれることを祈らずにはいられない。

コメント

タイトルとURLをコピーしました