インバウンドの復活に伴い、俄かに観光ガイドの仕事にも注目が集まっています。
東京や京都等を歩くと、多くの外国人を見かけるとともに、外国人と一緒にいるガイドの姿を目にすることも増えているのではないでしょうか。
どんな人がガイドをやっているの?
ガイドの仕事の醍醐味は?
どんな時が楽しかった?どんな事件があった?
そんなガイドの実態に、アンケートを通じて迫ります!
332名の全国通訳案内士の方々にお聞きしました。
―「全国通訳案内士とは?」-
第1回は「全国通訳案内士の業務の魅力に迫る」です。
通訳ガイドって仕事はどんな仕事なのか。
職業として成り立つのか。そのあたりをアンケートの結果をもとにまとめました。
Q.2023年1-12月の通訳ガイドとしての稼働日数を教えてください
通訳ガイドの人は1年間にどれくらいガイドの活動をしているのかを聞きました。
年間100日以上稼働している人が2割いるという状況です。
昔は、桜や紅葉の繁忙期しかガイドの仕事がないという人も多かったのですが、コロナがあけて、年間を通じてガイドの仕事が発生していることも見て取れます。
ちなみに、普通のサラリーマンが週休2日で、祝日・夏季休暇等があると240日が労働日数です。有給休暇等を考えると実働230日くらいが一般的でしょうか。
通訳ガイドも、ガイドしている日以外にも下見に行ったり、事務仕事があったりするので、実際の労働日数はもう少し多いですが、200日以上ガイドしているという方は1%ちょっとでした。
Q.コロナ前に比べて仕事が増えましたか?
ちょうど水際対策が緩和して1年が経過したということで、コロナ前に比べて仕事が増えているかを聞いてみました。
すると、過半数の方が「仕事が増えた」と言っており、コロナ前より活躍の機会が増えていることが確認できます。
Q.コロナ前と比べて他にどんなところが変わりましたか?
ちなみに他にどんな変化があったかを聞いたところ次のような回答がありました。
(※全国通訳案内士によるアンケート回答をそのまま掲載しています。以下同じ。)
仕事の単価が増え、チップも金額も増えました。特に日本の大手旅行会社に関しては上がらず、トラベルデザイナーやエージェントからの単価が上がっています。
コロナ前は、ほとんどのツアー旅程は、1日のスケジュールをガチガチに詰め込んだものが多かった。昼食や夕食も決められ、そのため、肝心の観光地の訪問時間は大変神経質になっていた。昼食予約や夕食予約は絶対に時間厳守だから。昼食時間や夕食時間を中心に考えねばならなかったので、本来目的の大切な観光地訪問を短くしたり、とかもあった。どこか、馬鹿げていた、というか。コロナ後は、旅行会社様も学習して、非常に時間にゆとりを持たせたツアーが増えた。本来、あるべき旅行の姿になってきたと感じている。
個人的にコロナ前は団体のスルーツアーをやっていて、今は個人の日帰りツアーをやっているので、何もかもが変わっているので比較は難しいです。ただスマホや人工知能などの発達で、単純な通訳や道案内のガイドは不要になりつつあるように感じており、付加価値を提供できるガイドになりたいと考えています。
インバウンドが更に活性化していく中で、ガイドを副業ではじめてみるのは今かもしれません。
Q.通訳ガイドの仕事の魅力は何だと思いますか?
コロナ前に比べて活躍機会の増えている通訳案内士ですが、通訳ガイドの仕事の魅力は何かを尋ねてみました。
「報酬になる」以上に、「国際交流ができる」「語学が活かせる」という声が大きかったですし、一番多かったのは「日本のことを改めて学ぶことが出来る」という声でした。
多くの魅力が通訳ガイドの仕事にはあります。
実際にどんなエピソードがあるかを聞いてみたところ、とても興味深い話が沢山出てきました。
Q.通訳ガイドをやっていてよかったなと思ったエピソードをご記入ください
お客様とお会いしていろいろ話しているうちに好みがわかり、提案した訪問場所がお客様の趣味にハマり「あなたがいたからこんな充実した日だった」と感謝されたときはガイドをやっていて良かった、と感じます。
官公庁主催の招聘ツアーを複数回経験していますが、特にアジアからの高校生グループを担当した時、最初はシャイであまり絡んでこなかった子供たちが7日経つうちに次第に周りを取り囲んでくれるようになり、成田では号泣されたこと。まるで自分の子供たちのように思えてすごく感動しました。
感謝される瞬間やお褒めのお言葉を頂いた時、過去サラリーマン時代には経験したことないような大きなやりがいを感じる。
ガイドとしてより、地方の住民と話せて良かったと言われます。ガイド以上に、文化、生活の違う国からの人々とおしゃべりできる楽しさ。ツアーが終わったあとも交流して、外国に友達ができました。メールのやり取りをしています。
Q.通訳ガイドの仕事をやっていて一番辛かった時のエピソードを教えてください。
とはいえ、この仕事もすべてが魅力的なことばかりではありません。
赤裸々に、一番つらかった時の話も聞いてみました。
ベジタリアンのお客様を某ハンバーガショップにお連れし、ベジタリアン対応のハンバーガーを注文しましたが、玉ねぎが入っていた事に激怒されベジタリアンに関係のない他のご家族の飲食分すべて某ハンバーガショップが無料にして、謝罪された時。お客様の言い分があまりにも理不尽にも関わらず100%某ハンバーガショップが謝罪されたので、後日お詫びに伺いました。
雨の日の30名程のクルーズエクスカーションにて、隅田川クルーズ後、イベントで込み合う浅草観光。迷子を出さないことが精いっぱいでした。企画ツアーに従うしかない状況の中、テンションが下がる要素が続く中、ツアーを盛り上げるのは辛かったです。
エージェントの手配ミスで、数ヶ月前に予約した訪問場所がキャンセルになったと当日朝知らされ、ゲストに謝罪し、代替地へお連れしたこと。
自分がその場にいたら、、、と思う話が沢山ありました。
現在活躍している通訳ガイドの方々も様々な経験を経て今があります。
Q.通訳ガイドの仕事をやっていて一番の失敗談を教えてください。
さらに失敗談についても聞いてみました。
団体ツアーで、PAで積み残し1人を発生させてしまった。
京都御所が休みの月曜日にゲストをそこにお連れした。
最初の40名の学生のツアーで、高野山の宿坊で一人乗っていないことに気づかず出発して、お坊さんから連絡があり、お坊さんに学生さんを連れて来ていただいた。
こちらも、自分がその場にいたとするとぞっとしてしまうものばかりです。
そんな、辛かったり、失敗することがあっても、多くの方が続けているのはそれだけ魅力があるということでもあります。
これから更にインバウンドは増えていくことが予想されますが、是非、海外の方に日本の魅力を伝える立場になってみてはいかがでしょうか。
次回は「通訳ガイドってどんな人がやっているのか」について迫ります。
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当記事は日本政府観光局「2023年度訪日旅行の旅ナカの満足度向上に資する人材育成および情報発信事業」の一環として、通訳案内士PRの為に、株式会社羅針盤が所有するアンケートデータをもとに作成した記事です。