通訳案内士の試験が終わり、本格的にガイドとして活動したい方向けに、「始め方」をまとめました。
通訳案内士/通訳ガイドとしてインバウンドを、日本の観光を一緒に盛り上げていけたら嬉しいです。
自分自身は資格取得後、積極的にガイドをしているわけではありませんが、4年間で数百人のガイドの方と接してきたり事業者と接する中で、気付くところがあったのでシェアします。
通訳ガイドをはじめるのに資格や登録はいるのか
そもそも「資格」の存在を知らない方もいると思いますが、一方、昔聞いた情報で「資格」が必要だと思っている方もいるかと思います。
以前は外国語で日本を案内してお金をもらうには「通訳案内士」という資格が必要でした。しかし、2018年1月4日法改正により、資格がなくても案内することが出来るようになりました。
日本国内にガイド団体もたくさんありますが、任意団体です。
もしかすると、ある特定エリアを案内するには、特定の団体に所属が必要というエリアもあるかもしれませんが、基本的にはどこに所属する必要もありません。
思い立ったが吉日です。
通訳ガイドの仕事の取り方
通訳ガイドをやろうと思ったときに、まず大事なのは仕事の取り方を自分の中で決めることが大事です。
「どれが一番仕事をとれる!」という王道はなく、相性もあります。
全てをやるのもひとつですが、「仕事を取る」という目的は見失わないようにしましょう。中には、登録したり研修ばかりしている人も見受けられます。
大体、仕事をしている人も3-4つ程度の窓口最終落ち着いているように思います。
自分が旅行会社の立場で言うのも変ですが、自分がガイドならAirbnbをフル活用します。自立して全てを自分でやりたい方は、Airbnbを軸に営業したり、会社・協会に登録したりすることが、通訳ガイドのみをやりたい方・一歩一歩進めていきたい方は、旅行会社・協会と進めていくのがおすすめです。
ただ、通訳案内士を持っていないと会社や協会への登録先は限られます。
パッションとゲスト・地域への愛がある方は、ぜひ弊社の募集要項もご覧ください。

1.旅行会社等に登録をする
大手旅行会社が、直接募集していることもありますし、各地域ごとの小規模旅行会社が募集をしていることもあります。
JTB
時期にもよりますが、通訳案内士の募集がでることもあります。
近畿日本ツーリスト
通訳案内士の登録は通年できるようです。
グループ会社のツーリストエキスパーツを通じての申込になります。
ノットワールド(東京・京都・他)
弊社でも、通訳案内士は経験問わず通年募集しています。
東京では、有料の研修を受けていただいた上で選考をし、登録を進めております。
研修・マニュアルを完備し、築地のみのスポットツアーからはじまるため、初心者でも始めやすいのが特徴です。興味のある方はこちらをご覧ください。

Voyagin
通訳案内士の方のみ募集しています。
昔はCtoCマッチングサイトでしたが、現在はVoyaginで販売したツアーの仕事を紹介してくれる形になっています。

2.通訳案内士団体に登録し、研修を受ける
IJCEE(日本文化体験交流塾)
国内最大級の通訳案内士団体です。
TRUE JAPANという旅行会社も持っているため、そちらで受けた仕事やそれ以外にも各社への派遣もあります。
ただ近年は、登録者数の急増に伴い、「登録して研修も受けたけど仕事を紹介してもらえない」という声も多く聞きます。会員を探して話を聞いてみるのもいいかもしれません。
JGA(日本観光通訳協会)
約80年の歴史を誇る通訳案内士団体。
旅行代理店やホテルから依頼を受けた仕事を中心に会員へ案内しています。 団体のバス旅行も想定した4-5日間の新人研修も充実しています。
JapanWonderGuide
(株)ノットワールドが手掛ける新ガイドコミュニティです。
通訳案内士資格がなくても登録可能です。研修に加え、CtoCのマッチングサイトの充実など最先端のガイド団体を目指しています。

その他
各地域に都道府県で地域案内士団体が立ち上がりつつあり、中には精力的に活動している団体もあります。大きい団体は、東京・関西を中心に動いていることもあり、それ以外のエリアで活動される際は、そちらを覗いてみるのもおすすめです。
九州通訳・翻訳者・ガイド協会 (九州エリア全般)
九州で通訳案内士やガイドの仕事をするなら、九州に特化した通訳・翻訳者・ガイド協会もあります。

3.CtoCマッチングサイトに登録する
Airbnb experience
個人的にはイチ押しのマッチングサイトです。民泊の代名詞的存在だったエアビーですが、体験サービスの提供も行っており、グローバルで展開していることもあり(広告費も莫大で)、集客力はNo.1です。個人で気軽に登録することが出来ます。
www.airbnb.jp/x/fumitos11Triple lights
Voyaginがほぼ撤退した中、和製C2Cマッチングサイトの雄。
動画自己紹介がゲストにはわかりやすそうだと思う反面、恥ずかしいというガイドさんもちらほら。成約に至る率は少し下がるようですが、問合せはそこそこ来るようです。

4.個人で営業する
凄い人は、個人でも精力的に動いています。
個人ネットワークで、大使館にアプローチしたり、ホテルにアタックしたり、、、なかなかハードルは高いですが、既にネットワークをお持ちの方は有効な一手でしょう。
5.通訳案内士(ガイド)ネットワークを創る
直接的な仕事の獲得は1-4にあげた通りですが、結構見逃せないの間接的な仕事に「仲間からの紹介」があります。
「私、もうその日仕事もらっちゃってて対応できないんだけど、ガイドさんを探しているらしいの。どう?」
話を聞くと、そんなやり取りがあるようです。自分たちも地方では、ガイドさんをガイドさん伝いに探したりしますし、日頃からガイドネットワークを作っておくのも仕事を獲得する有効な一手です。
通訳ガイドの仕事を取るコツ
もし皆様が、旅行会社の社員・団体の職員・CtoCマッチングサイトで探している人だったら、どんな通訳ガイドの方にお願いしたいと思いますか?
他社がどのように判断しているかはわかりませんが、少なくとも弊社が考える仕事を取るポイントをお伝えします。
旅行会社が大事にするのは、ゲスト&地域の満足度です。
それをいかに伝えるかが、仕事を取る上でも大事だと感じています。
コミュニケーション能力の高さ(楽しさ)を滲ませる
通訳ガイドは、単なる通訳や杓子定規なマニュアルの音読ではなんの役に立ちません。
いかにゲストのニーズを読み取り、それに応えて楽しませていくかが求められます。
「ご担当者様、通訳案内士に昨年合格しました。登録したいので流れを教えてください。」
そんな応募メールを頂くこともあります。登録の流れはHPに掲載していて、調べればすぐわかりますし、このようなコミュニケーションをする方に、安心してゲストをお任せできません。
また、長ければいいというものでもありません。経歴に研修経験ばかりを載せてもコミュニケーション能力は伝わりません。会社によっては経験を重視するところもあるかもしれませんが、「ゲストからこんな満足の声をもらった」ことは評価されることですが「200日仕事した」ことに関して、弊社では参考程度に捉えています。
自己紹介をする中で、自分のガイドへの想いの強さ・強み等、こちらが聞きたいことを最初から簡潔に書いて応募してくる方もいます。メールひとつとっても、コミュニケーション能力は垣間見れます。
責任感の強さを滲ませる
ツアー中は何が起こるかわかりません。ただ、何が起こっても楽しませきる必要があります。イレギュラーがあっても何とか出来そうな人は安心して仕事をお願いできます。
「まだ経験は少ないですが、2週間前までに言ってくれたら、行ったことないところでも絶対何とかします」
ある通訳ガイドのプロ意識に、何か困ったらこの人にお願いしようと思いました。もちろんちゃんとその期待に応えていくということは言うまでもありません。
繁忙期のチャンスをつかむ
そうはいっても、新しく通訳ガイドを始めようとして実績がない人にとっては、なかなかチャンスが回ってこないこともあります。
そんな時にぜひ活かしていただきたいのが繁忙期です。特に引き受け手がいないのは、桜シーズンとお正月です。
ベテランさんが埋まってどうしようもないとき。
ベテランさんが仕事をしたがらないお正月。
こんな時にはきっとチャンスが溢れてめぐってくるはずです。CtoCマッチングサイトでは価格をぐっと下げるのもひとつのチャンスの掴み方です。そのチャンスを見逃さずに掴みましょう。
掴んだチャンスを120%活かす
さぁ、チャンスを掴んだら・・・そのチャンスを120%活かしてください!
これまでは「滲ませて」しかこれなかった、コミュニケーション能力や責任感を、ちゃんと伝えることが出来る絶好の機会です。
最初に申し上げたとおり、旅行会社的にはゲストと地域の満足度重視です。
(団体で言えば、間に入る旅行会社も入ってくることでしょう)
ゲストが「○○ is amazing!」と言えば、それが全てです。
「次も○○さんがいい」と言わせれば、次のチャンスはすぐに巡ってきます。
通訳ガイドの仕事に向けた準備の仕方
仕事を得る環境が整い、いざ仕事が入ってきたときに「仕事が入ってしまった、どうしよう、、」と焦る方もいるのではないでしょうか。
そんな方のために、準備の仕方をご紹介します。

研修を受講する
「研修を受けること」自体に意味はなく、「いい研修を受けること」に意味があります。
いい研修とは、自分の目的達成に応えてくれる研修です。
インバウンドの旅行自体は閑散期&通訳案内士の合格発表時期ということもあり、研修の機会は多数あります。自分は何のために研修としているかを考えたうえで、必要としている研修が見つかれば申込んでみるといいでしょう。

どう紹介するか組み立てる(コース・各スポット)
自分でCtoCマッチングサイトで販売していくのであれば、販売するツアーを自分で組み立てる必要があります。
また、旅行会社や団体からの紹介を受けるのであれば、そこのどういうツアーを依頼されるケースが多そうなのかも踏まえて、自分としてどういうツアーを受けていきたいのかを考える必要があります。
コースを組み立てた後は、各スポットでどのような話をするかを詰めていくことになります。各スポットでのガイドのポイントを知りたいために研修を受講される方もいますが、
このご時世、各スポットのポイントはインターネットを調べると結構な情報を取得できます。
実際に日本人でもいいので案内する
自分なりのベストコースが出来て話すことを整理出来たら、まずは日本人でもいいので案内してみましょう。出来れば、結構ずばずばフィードバックをくれる人が好ましいです。
初期にありがちなのは、知識を詰め込み過ぎてしまうこと。ひけらかしてしまうこと。
ガイドで大事なのは、相手が知りたいことを伝えることで、自分が伝えたいことを伝えるわけではありません。
また、考えてたことを一連の流れでやってみると、導線や話の流れ等改善点が沢山見えてくるはずです。
日本人から「へぇ~勉強になったわ。」というリアクションがあったとすると失敗だと思ってください。
日本人の「勉強になった」のは、多くの外国人にとっては細かすぎる情報です。
観光客で「勉強したい」人は、あまりいません。「凄い楽しかった!!」を目指しましょう。
まず1~2人を案内したら、4~5人をまとめて案内してみるとまた違った視点が見えてきます。ここで磨いていくことが大事です。
Free Guideで外国人を案内する
ある程度コースが固まったら外国人を案内してみましょう。
ボランティアガイドに登録して案内の機会をもらうのもあり。
街で歩いている人をつかまえて、そのスポットだけ案内させてもらうのもあり。
実際そのように準備をしてきたガイドさんはたくさんいます。街中で話しかけるのは少し恥ずかしいですが、受け入れてくれる旅行者も沢山います。これまでの経験としてぶっつけ本番はリスクが大きすぎます。
ある程度実績を積んでからクレームが来た分には、「あの人でそう言われてしまうならしょうがないよね。」となりますが、初期に受けてしまうクレームは、「もうあの人にはお願いしないようにしよう」となってしまいます。
外国人を案内すると、より話に磨きがかかる上に自信と余裕が生まれます。こうすることで、お金をもらった仕事の際も落ち着いてガイドすることが出来ます。
準備が9割。
デビューの前に万全の態勢を整えましょう。
以上、ガイドのデビューの方法のまとめです。
素敵なガイドさんと日本の観光をもっともっと盛り上げていければと思います。

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