コロナによって、インバウンドの観光業界は大きく様変わりしました。
しかし、将来、通訳ガイドとして日本を盛り上げていきたいと思っていらっしゃる方も多いと思います。
この記事では、来たるべき将来のために「通訳ガイドの始め方」をまとめました。
通訳案内士の資格※を取ったけれど、どうやって仕事を始めたらいいか分からないという方に、仕事の取り方やツアーの準備方法などを、ガイドデビューのステップをご説明します。
※2018年の法改正により、全国通訳案内士の資格を持たなくても、ガイドのお仕事ができるようになりました。資格がない場合は、加入できる団体や登録先が限られることもあります。一方で、資格がなくても、熱い意志とホスピタリティをもって活躍されいる方もたくさんいらっしゃいます。
通訳ガイドの仕事の取り方
通訳ガイドをやろうと思ったときに、まず大事なのは仕事の取り方を自分の中で決めることです。
ただ受け身でいては、いつまでも仕事は得られません。まずは行動することが大切です!
ガイド団体や旅行会社、CtoCマッチングサイトなどに登録するなど、仕事を始める準備をします。
大体、通訳ガイドの仕事をしている人も3-4つ程度の窓口に落ち着いているように思います。
自分に合った仕事の取り方を見つけましょう。
1.旅行会社等に登録をする
通訳ガイドを専業としてやりたい方や、初めてなのでサポートを受けながら進めていきたい方は、旅行会社・協会に登録するのがおすすめです。
ただ、通訳案内士資格を持っていないと会社や協会への登録先が限られることもあります。
思い立ったが吉日、まずは登録してみるのが第一歩です。
大手旅行会社が直接募集していることもありますし、各地域ごとの小規模旅行会社が募集をしていることもあります。
現在はコロナの影響で一時的に募集をストップしているところもありますが、再開したときにスタートダッシュできるよう、今から登録しておいても良いかもしれません。
JTB
時期にもよりますが、通訳案内士の募集がでることもあります。
※2022年度の通訳案内士の募集は7月頃を予定
近畿日本ツーリスト
ツーリストエキスパーツを通じて、添乗員など旅行・観光に特化した仕事を紹介しています。
羅針盤(東京・京都・他)
JapanWonderGuideを運営する羅針盤は、JapanWonderTravel上でFITツアーを中心に、主に東京・関西でツアーを催行し、年間1万5千人のゲストをご案内してきました。
ガイド採用に関しては、研修・マニュアルを完備し、築地・錦の市場ツアーという限られたスポットツアーから始めていただくため、初心者でもトライしやすいのが特徴です。
公式ガイド採用プロセスは下記をご覧ください。
2.通訳案内士団体に登録し、研修を受ける
日本国内にガイド団体はたくさんありますが、任意団体です。
基本的には、日本国内どこを案内しようと、ガイド団体に所属する必要はありませんが※、ガイド団体に属することで求人情報がいち早く届いたり、仕事仲間が出来たり、充実した研修を受けられたりなど、メリットが多くあります。
※ご案内する場所によっては、特殊な専門技能や知識を要する場合はあります。
IJCEE(日本文化体験交流塾)
国内最大級の通訳案内士団体です。
TRUE JAPANという旅行会社も持っているため、そちらで受けた仕事やそれ以外にも各社への派遣があります。
JGA(日本観光通訳協会)
約80年の歴史を誇る通訳案内士団体。
旅行代理店やホテルから依頼を受けた仕事を中心に会員へ案内しています。 団体のバス旅行も想定した4-5日間の新人研修も充実しています。
JFG(全日本通訳案内位連盟)
全国通訳案内士による団体です。国土交通大臣より正式に認可された全国を区域とする通訳案内士の事業協同組合であり、組合員全員が「通訳案内士」国家試験に合格し、都道府県知事より登録証を取得しています。
GICSS(通訳ガイド&コミュニケーション・スキル研究会)
研修プログラムが充実しており、通訳ガイドの新人研修に定評があります。
JapanWonderGuide(JWG)
株式会社ノットワールドが運営するガイドコミュニティです。
「日本のガイドの質を日本一に」をスローガンに、スキルの高いガイドコミュニティの育成を目指しています。通訳ガイドの方に向けたイベントや研修を多数企画、開催しています。
通訳案内士資格の有無に関わらず、ガイドに挑戦したい方すべてにご入会いただけます!
月額会員制を導入しており、有料会員にご登録いただくと、有料動画コンテンツが無料で見放題!
ガイドのスキルアップやビジネススキルアップに役立つ研修動画、E-learningが充実しています。
ツアーガイドを始める一歩として、JWGで学びませんか?
インバウンドガイド協会
有償・無償や通訳案内士資格の有無を問わず、外国語による訪日外国人旅行者向けのガイド業務に従事する方を「インバウンドガイド」と呼び、各種研修お開催しています。団体に所属する必要はないので、まずは研修を受けてみたい方にはとっつきやすいかもしれません。
MagicalTrip
ゲスト、ガイド共に、若年層に高い人気を誇るMagicalTrip。ガイドの資格は問わず、ローカルガイドが提供するユニークな体験をコンセプトにしています。地域に根付いたコミュニティづくりに力を入れています。
お住まいの地域の通訳ガイド団体
お住いの地域には、各都道府県またはエリアごとに立ち上げられた、通訳ガイド団体があります。ガイド仲間を増やすためにも、そうした団体にアクセスしてみることがガイドデビューの近道の一つです。まずはご自身が活動したいエリアを検索してみることがおすすめです。
通訳ガイド業界を把握できる、【業界カオスマップ】を無料でプレゼントしておりますので、お住いの地域の団体を探してみてください。
3.CtoCマッチングサイトに登録する
自立して全てを自分でやりたい方は、AirbnbなどのCtoC※を軸に営業することが、第一歩かもしれません。
※Consumer to Consumer:個人間でモノやサービスを販売するビジネスモデル。ガイドが直接ゲストとやりとりをすること
Airbnb experience
民泊の代名詞的存在だったAirbnbですが、体験サービスの提供も行っており、グローバルで展開していることもあり(広告費も莫大で)、集客力はNo.1です。現在はオンライン体験のホストもできるので、コロナ禍でもインバンドビジネスを進めている方もいらっしゃいます。個人で気軽に登録することが出来ます。
GoWithGuide(旧:Triple lights)
Voyaginが撤退した中、和製 CtoC マッチングサイトの雄だったTriple Lightsが、GoWithGuideに改名。業界で先駆けて、動画で自己紹介を取り入れ、ゲストへのアピールに成功しています。
ToursByLocals
ToursByLocalsは、カナダを拠点とする国際的なプライベートツアープロバイダー。本社はバンクーバーにあり、年間40万人以上の顧客にサービスを提供しており、163か国の4300人を超えるプライベートツアーガイドとコネクションを持っていると言われています。
Japan Wonder Travel
弊社ノットワールドが運用するJapan Wonder Travelで、新たなサービスを開始いたしました。
ゲスト、ガイド、エージェントの3社が効率よくマッチングし、ガイドさんがより多くの仕事を得られるようにすることを目的としています。ガイド登録していただくと、自身のツアーを作成・販売することができる他、スケジュールやレビューを一元管理できます。
将来的には、更により多くのエージェントとマッチングし、仕事を得ることができるようになるよう、現在開発中です。
4.個人で営業する
現役ガイドさんの中には、個人で精力的に動いていらっしゃる方もいます。
個人ネットワークで、大使館にアプローチしたり、ホテルにアタックしたり、、、なかなかハードルは高いですが、既にネットワークをお持ちの方は有効な一手でしょう。
5.通訳ガイドのネットワークを創る
直接的な仕事の獲得は1-4にあげた通りですが、他にもガイドさんならではの仕事のとり方として「仲間からの紹介」があります。
「私、もうその日仕事もらっちゃってて対応できないんだけど、ガイドさんを探しているらしいの。どう?」
話を聞くと、そんなやり取りがあるようです。弊社でも、知り合いのガイドさんを介して地方のガイドさんを探したりしますし、日頃からガイドネットワークを作っておくのも仕事を獲得する有効な一手です。
通訳ガイドの仕事を取るコツ
もし皆様が、旅行会社の社員・団体の職員・CtoCマッチングサイトで探している人だったら、どんな通訳ガイドの方にお願いしたいと思いますか?
他社がどのように判断しているかはわかりませんが、少なくとも弊社が考える仕事を取るポイントをお伝えします。
旅行会社が大事にするのは、ゲスト&地域の満足度です。
それをいかに伝えるかが、仕事を取る上でも大事だと感じています。
コミュニケーション能力の高さ(楽しさ)を滲ませる
通訳ガイドは、単なる通訳や杓子定規なマニュアルの音読ではなんの役に立ちません。
いかにゲストのニーズを読み取り、それに応えて楽しませていくかが求められます。
ガイドとして登録する際、どのようなコミュニケーションを取られる方なのか。メールの口調は礼儀を踏まえているか、効率の良いやり取りができているか、スタッフはそういった点を見ています。ガイドも旅行会社も一緒にお仕事をしているという意識を持って、スムーズなコミュニケーションを取れる方であれば、「また次も頼みたい」と自然に声がかかります。
また、経歴に研修経験ばかりを載せてもコミュニケーション能力は伝わりません。会社によっては経験を重視するところもあるかもしれませんが、「ゲストからこんな満足の声をもらった」ことは評価されることですが「200日仕事した」ことに関して、弊社では参考程度に捉えています。
自己紹介をする中で、自分のガイドへの想いの強さ・強み等、こちらが聞きたいことを最初から簡潔に書いて応募してくる方もいます。メールひとつとっても、コミュニケーション能力は垣間見れます。
責任感の強さを滲ませる
ツアー中は何が起こるかわかりません。ただ、何が起こっても楽しませきる必要があります。イレギュラーがあっても何とか出来そうな人は安心して仕事をお願いできます。
「まだ経験は少ないですが、2週間前までに言ってくれたら、行ったことないところでも絶対何とかします」
ある通訳ガイドのプロ意識に、何か困ったらこの人にお願いしようと思いました。もちろんちゃんとその期待に応えていくということは言うまでもありません。
繁忙期のチャンスをつかむ
そうはいっても、新しく通訳ガイドを始めようとして実績がない人にとっては、なかなかチャンスが回ってこないこともあります。
そんな時にぜひ活かしていただきたいのが繁忙期です。特に引き受け手がいないのは、桜シーズンとお正月です。
ベテランさんが埋まってどうしようもないとき。
ベテランさんが仕事をしたがらないお正月。
こんな時にはきっとチャンスが溢れてめぐってくるはずです。CtoCマッチングサイトでは価格をぐっと下げるのもひとつのチャンスの掴み方です。そのチャンスを見逃さずに掴みましょう。
掴んだチャンスを120%活かす
さぁ、チャンスを掴んだら・・・そのチャンスを120%活かしてください!
これまでは「滲ませて」しかこれなかった、コミュニケーション能力や責任感を、ちゃんと伝えることが出来る絶好の機会です。
最初に申し上げたとおり、旅行会社的にはゲストと地域の満足度重視です。
(団体で言えば、間に入る旅行会社も入ってくることでしょう)
ゲストが「○○ is amazing!」と言えば、それが全てです。
「次も○○さんがいい」と言わせれば、次のチャンスはすぐに巡ってきます。
通訳ガイドの仕事に向けた準備の仕方
仕事を得る環境が整い、いざ仕事が入ってきたときに「仕事が入ってしまった、どうしよう、、」と焦る方もいるのではないでしょうか。
そんな方のために、準備の仕方をご紹介します。
研修を受講する
「研修を受けること」自体に意味はなく、「いい研修を受けること」に意味があります。
いい研修とは、自分の目的達成に応えてくれる研修です。
インバウンドの旅行自体は閑散期&通訳案内士の合格発表時期ということもあり、研修の機会は多数あります。自分は何のために研修としているかを考えたうえで、必要としている研修が見つかれば申込んでみるといいでしょう。
どう紹介するか組み立てる(コース・各スポット)
自分でCtoCマッチングサイトで販売していくのであれば、販売するツアーを自分で組み立てる必要があります。
また、旅行会社や団体からの紹介を受けるのであれば、そこのどういうツアーを依頼されるケースが多そうなのかも踏まえて、自分としてどういうツアーを受けていきたいのかを考える必要があります。
コースを組み立てた後は、各スポットでどのような話をするかを詰めていくことになります。各スポットでのガイドのポイントを知りたいために研修を受講される方もいますが、このご時世、各スポットのポイントはインターネットを調べると結構な情報を取得できます。
実際に日本人でもいいので案内する
自分なりのベストコースが出来て話すことを整理出来たら、まずは日本人でもいいので案内してみましょう。出来れば、ずばずばフィードバックをくれる人が好ましいです。
初期にありがちなのは、知識を詰め込み過ぎてしまうこと。ひけらかしてしまうこと。
ガイドで大事なのは、相手が知りたいことを伝えることで、自分が伝えたいことを伝えることではありません。
また、考えてたことを一連の流れでやってみると、導線や話の流れ等改善点が沢山見えてくるはずです。
日本人から「へぇ~勉強になったわ。」というリアクションがあったとすると失敗だと思ってください。
日本人の「勉強になった」のは、多くの外国人にとっては細かすぎる情報です。
観光客で「勉強したい」人は、あまりいません。「とても楽しかった!!」を目指しましょう。
まず1~2人を案内したら、4~5人をまとめて案内してみるとまた違った視点が見えてきます。ここで磨いていくことが大事です。
Free Guideで外国人を案内する
ある程度コースが固まったら外国人を案内してみましょう。
ボランティアガイドに登録して案内の機会をもらうのもあり。
街で歩いている人をつかまえて、そのスポットだけ案内させてもらうのもあり。
実際そのように準備をしてきたガイドさんはたくさんいます。街中で話しかけるのは少し恥ずかしいですが、受け入れてくれる旅行者も沢山います。これまでの経験としてぶっつけ本番はリスクが大きすぎます。
ある程度実績を積んでからクレームが来た分には、「あの人でそう言われてしまうならしょうがないよね」となりますが、初期に受けてしまうクレームは、「もうあの人にはお願いしないようにしよう」となってしまいます。
外国人を案内すると、より話に磨きがかかる上に自信と余裕が生まれます。こうすることで、お金をもらった仕事の際も落ち着いてガイドすることが出来ます。
準備が9割。
デビューの前に万全の態勢を整えましょう。
以上、通訳ガイドの仕事の取り方、デビューの方法のまとめでした。
素敵なガイドさんと日本の観光をもっともっと盛り上げていければと思います。
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